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元小結が著名人も治療に訪れる”神整体師”に…若貴時代に活躍した“いぶし銀”三杉里の現在

まんまる顔の三杉里さん。弓取り式の弓も飾られてあった
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 若貴時代に活躍した大相撲の元小結・三杉里公似さん(58=本名・岡本公似)は現在、東京・中野で整体治療院「ごっつハンド」を経営している。開業11年目の今年は新型コロナウイルスの影響を受け、収入は6割ダウンしたが、持続化給付金を受けず、休まず営業。高齢のお客様のために独自に研究した“健康回復法”を施し、ゴッドハンドぶりを発揮している。

 その丸顔は現役時代のまんま。肌つやもいい。体型もほとんど変わらない。JR中野駅北口から徒歩5分の整体治療院。三杉里さんはコロナ禍で悲壮感を漂わせているかと思いきや、笑顔で出迎えてくれた。

 「高年齢の常連客が多いので休めませんでした。膝関節が弱く、動けない方もいらっしゃるので、ご自宅まで出張したり。他店よりは恵まれていたと思いますが、それでも収入は6割減です。苦しいのは確かですが、お客様に喜んでいただけるので、その期待に応えないといけません」

 2009年10月にオープン。フロアの中央には三杉里さんが独自に考案した自慢の曲線弓棒が数本飾ってある。これは弓取り式で使う弓をヒントにしたもので長さ1メートルほど。“健康回復法”のひとつだそうだが、これが結構、常連客には好評という。

 「単なる棒ではダメなんです。曲線だからお年寄りには無理なくストレッチができる。例えば、膝関節が弱っている方にはこれを持って、腕を大きく振りなさいと伝えます。そしたら自然に足も上がります。難しいことは言いません。心と体の一体感から健康が生まれます」

 現役時代は”土俵際の魔術師”と言われ、所属した二子山部屋と藤島部屋が合併する前は”貴花田キラー”の異名も取った。最高位は東小結。晩年は左肘の悪化に悩まされ、十両に陥落することもあったが、通算700勝を達成している。1998年7月場所限りで引退。その後は二子山部屋の部屋付き親方となり、角界に残るつもりだったが、2006年の制度変更により、条件を満たさないことから潔く退職を決めた。

 「残ったのは部屋を持つためにつぎ込んだ数千万円の借金。しかし、私は楽天家なんです。肘の痛みも辛いなんて思ったことは一度もなかったし、親方になる規約の問題もそうなったのだから仕方ないと割り切りました。相撲もそう。勝っても負けても一喜一憂している暇ない」

 その後は鎌倉でちゃんこ店を経営(現在は閉店)をしながら44歳のときに整体の専門学校へ。本場の中国でも学び、理論と技術を身につけた。お相撲さんならではの大きな手とツボを心得た施術。経験を積んだいまではゴッドハンドと言われているそうだ。

 「家族もいたし、くよくよ考えているよりまずは実行です。小さいころから悩んでいる暇があったら日々勉強という気持ちでいましたからね。整体の道にもすんなり入れた。確かに若貴時代に話題を提供して三杉里の名前を売ったからいまがある。それは感謝しています」

 人脈の広さから相撲界はもちろん、ボクサーや小説家、落語家、俳優など各界の著名人も治療に訪れるという。最近では後進の育成にも力を入れているとか。もちろん、大相撲も気になるが、安易にはコメントはしない。

 「いくら相撲界のためと真面目に発言しても人によって色々な解釈をします。だから、話さないのが一番です」

 しかし、照ノ富士の7月場所優勝については快く感想を寄せてくれた。

 「私は小結から幕下でしたが、彼は大関から落ちてからですからね。凄いと思います。これは親方の力が大きかったと思いますよ」

 三杉里さんも二子山親方(初代若乃花)を尊敬し、慕ってきた。店の壁には、断髪式のツーショット写真が飾られてあった。私が「二子山親方のように親方になって若い子に相撲を教えたかったのでは?」と質問すると、三杉里さんはしばし絶句。やがて、その瞳が光った。そこには相撲愛がにじんでいた。

(まいどなニュース特約・吉見 健明)

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