パーキンソン病と間違えられやすい、原因不明の震えに要注意!「本態性振戦」とは

 ティーカップを持ったり、文字を書こうとしたりすると、手が小刻みに震えることはありませんか。

 似たような症状にパーキンソン病があります。パーキンソン病の場合は安静時に震えがあるのが特徴で、手などを動かすと震えが治まる傾向にあります。

 しかし、他の病気の心当たりがなく、震えるようならば、それはもしかして「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」かもしれません。ちなみに「振戦」とは規則的に往復運動を繰り返す震えのことをいいます。

 本態性振戦の症状はパーキンソン病とは逆で、字を書く、お茶を入れようとするなどの動作を始めると起こり、安静時には震えはあまり見られません。そして、震え以外の症状がないのが特徴で、病気が進行したり、悪化したり、麻痺したりすることもありません。

 パーキンソン病は高齢者に多いのですが、本態性振戦は年齢関係なく若い人でも発症します。しかし、やはり患者で多いのは50代以降なので、パーキンソン病と間違われやすいようです。

 本態性振戦の場合、なぜこのような震えが起こるのかはいまだ原因不明です。最初は気にもとめなかった軽い震えがひどくなってから、慌てて病院を訪れる人が少なくありません。中には、人前で震えるのが恥ずかしいと思い、それがプレッシャーとなって、震えがひどくなったという人もいます。

 本態性振戦で言えるのは焦らないこと。人前でもリラックスすることが大切です。また震えは手だけでなく、足、首、頭、声などに出ることもあります。日常生活に支障をきたすような震えがある場合は薬の投与なども考えられます。

 しかし、震えの原因は他の病気の可能性もあるので、早めに神経内科などで診てもらうことをおすすめします。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。

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