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餅、数の子…入れ歯には“難敵”になる食べ物 ひと工夫すると、おいしくいただける

 大学近くの神社で、大晦日に罪や穢れを祓うためにくぐる茅の輪づくりが行われていました。今年もいよいよあとわずかですね。

 我が家でも早速餅と数の子を買いました。どちらも大好きな方は多いですが、残念ながら入れ歯にとっては難しい食べ物かもしれません。入れ歯の材料は餅とくっつきやすく、入れ歯が外れて口の中をけがしたり、上下の入れ歯につくと窒息につながったりすることがあります。餅を小さく切る、お茶など水分とともに摂るといった工夫が必要でしょう。ガムやキャラメルなども入れ歯とくっつくため避けた方が無難ですが、最近はくっつきにくい材料を用いた入れ歯や、バネがないタイプの入れ歯もあります。

 数の子は、あのプチプチした卵が入れ歯と口の粘膜の隙間に入ってしまうと痛いです。イチゴやゴマなども同様に隙間に入ることがあるため、入れ歯がガタガタしている場合は応急処置として入れ歯安定剤を用いるとよいでしょう。また数の子、パン、肉などは弾力があって入れ歯でかみ切りにくいですね。これらも小さく切ったり、パン、肉はスープなどと一緒に食べたりすることを勧めます。父はパンが大好物で、毎朝パンをちぎり、ミルクと砂糖たっぷりの紅茶につけて食べていました。昔はなぜそのようなことをするかわかりませんでしたが、改めて考えると入れ歯でパンを食べるための一つの手段だったようです。

 入れ歯ではかみ切りや、すりつぶしが難しいため、白菜など繊維がある生野菜も難敵です。うまくかめないからと野菜を避ける方もいらっしゃいますが、こちらも細かくしたり、煮て軟らかくしたりして摂るよう心掛けたいですね。

 ところで、大きな入れ歯は口の中の粘膜を覆うため、入れ歯の材料によっては味や温度を感じにくくなることがあります。ご家族で大きな入れ歯を使っている方がいらっしゃれば、味つけや温度にご配慮をお願いします、

 さて、入れ歯を使い始めて時間が経つと入れ歯の歯がすり減り、食べ物をかみ切ることが難しい形になってきます。また、長く使うと入れ歯のかみ合わせが悪くなったりバネが緩んだりするとともに、顎の骨の形も変わって入れ歯が安定しにくくなる、顎が痛くなるなどの問題が出てきます。入れ歯は定期的に歯科医師のチェックを受けて使ってください。なお、入れ歯は設計時の考えが反映されることがあるため、入れ歯を作った歯科医院でメンテナンスを受けることが適切かもしれません。

 入れ歯は食べづらいものがあったり味を感じにくかったりするため、特に最初は使うのに苦労されると思います。しかし、歯が抜けたまま放置すると顎の骨がやせる、歯が斜めに倒れる、歯が伸び出してくるといったことが起こり、かみ合わせが変わってきます。また一部の歯に大きな力がかかってさらに歯が抜けたり、顎関節が痛んだり、頬がこけて老けてみえたりするようにもなります。学生がお笑いコンビ・錦鯉の長谷川雅紀さんの奥歯が全てないことに衝撃を受けていましたが、長谷川さんも魂のみならずお口も年を取らないよう、ぜひM-1の賞金で歯、入れてくださいね。

 間もなく来たる2022年、歯を補ってお口を健康に保ち、みなさまどうぞお元気にお過ごしください。

◆中塚 美智子 大阪歯科大学医療保健学部教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士。

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