どうなる?今冬のインフルエンザ「昨年よりは小流行がちらほら見られるかも」
今月はズバリ、この話題でしょう。今年の冬はインフルエンザは流行するのか?昨冬、インフルエンザの患者さんは「全くいない」と言ってもいい状況でした。
理由はコロナウイルスです。脳も意思も持たないウイルスですが、明らかにナワバリ意識があり、あるウイルスが流行している時期と地域では他のウイルスは流行しません。コロナもインフルもどちらも呼吸器感染するウイルスですので、コロナが勝った、と言ってもいいでしょう。
では今年の冬は。今年の夏、南半球での流行は見られなかったものの、インドやネパールでは少し流行しました。今年9月後半の日本全国の感染報告は10人に満たなかったことで、去年に続いてインフルエンザはほとんど流行しないという見方が強くなっています。
ところがここに大きな落とし穴があります。まずインフルエンザワクチンの供給量が、昨年の4分の3になっていること。今年の3月末までに、日本中の医療機関から合計50万本のインフルエンザワクチンが返品されました。製薬会社にしたら、たまったものではありません。すべて廃棄ですから大損害です。
次に、去年流行しなかったことで、ほとんどの人はインフルエンザに対する免疫力が落ちていること。だからこそ、今年もインフルエンザワクチンは接種していただきたいのですが、そうはいうものの、やはりコロナワクチンが優先であることに変わりありません。
コロナワクチン接種後、2週間は間隔を空けないとインフルエンザワクチンは打たないようにとされているので、なおさらインフルエンザワクチンを受ける人は減ると予想されます。となると、今冬は、昨年よりはインフルエンザの小流行がちらほら見られると予測します。
◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。