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新型コロナ感染症で嗅覚・味覚障害はなぜ起こる? 新しい仮説が報告されました

 新型コロナウイルス感染症の患者さんが、味覚・嗅覚障害を訴えるという話はご存じでしょうが、これらの症状は亜鉛の欠乏や薬の副作用でもみられます。今回は新型コロナウイルスがどのように味覚・嗅覚障害を引き起こすのか、新しい仮説が報告されたのでご紹介します。

 ヨーロッパでは中等症以下の新型コロナ感染者およそ400名のうち、9割近い患者に嗅覚障害や味覚障害がみられました。1割の患者の初発症状が嗅覚障害で、治癒後7割が8日以内、ほとんどの場合14日以内に症状は改善しますが、3%の人は味覚・嗅覚障害が長期に残存します。

 そのメカニズムとしてこれまでの有力な説は、ウイルスによる直接的な神経の障害とされていました。コロナウイルスは鼻の粘膜から神経を伝って脳内に入り、神経性の味覚・嗅覚障害を起こすというものです。

 しかし、神経細胞の障害が原因だとすると新型コロナの場合は回復が早すぎます。視覚や聴覚の神経細胞は年齢とともに減少していきますが、嗅覚と味覚の神経細胞は、生涯ターンオーバーを繰り返します。加齢とともに目や耳は悪くなるのに,味覚や嗅覚は変わらないのです。

 新型コロナでみられる味覚・嗅覚障害は、神経細胞のターンオーバーによって回復するにしては早すぎるため、ウイルスによる直接的な神経細胞のダメージよりも、神経周囲の細胞の炎症によって間接的に味覚・嗅覚の低下が起こる、と考えた方が自然です。

 耳鼻咽喉科の先生に言わせれば、実は味覚・嗅覚障害は珍しいものではなく,ウイルス性の急性上気道炎、いわゆるカゼをひいた後によく見られる症状です。ワクチンという武器も開発されたことです。一日も早い収束を願ってやみません。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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