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縄文人にもあった歯石、歯磨きでは取れない 放って置くと全身に影響も

歯周病や口臭の悪化につながる歯石。残念ながら歯磨きでは取ることができません。発掘された縄文人やネアンデルタール人の歯にも歯石がついていたそうですから、相当な厄介ものです。

さてこの歯石、つきやすい場所があることをご存知ですか。歯磨きが難しくて汚れが残りやすい場所のほか、上顎の奥歯の頬の粘膜と向かい合っている辺り、また下顎の前歯の裏側です。なぜでしょうか。

歯石は、歯垢(虫歯や歯周病の原因となる細菌などの塊)に唾液中のカルシウムやリン酸、タンパク質などが取り込まれて硬くなったもので、2日ほどでできます。上顎の奥歯の表面や下顎の前歯の裏側付近には唾液が出てくるところがあり、常に唾液にさらされるため歯石がつきやすくなります。口を開け、舌の先を上げて舌の裏側が見えるようにしてください。舌と口の底をつないでいる部分の下の方に小さく膨れたところがあり、よく見ると小さな穴が空いているように見えます。そこが唾液の出口で、暫く見ているとその穴の付近が少し濡れたようになり、唾液が出ているのがわかります。

目に見えるところにできる歯石はクリーム色がかっていますが、歯茎に覆われた部分についている歯石は血液などに含まれるカルシウムなどが取り込まれるため、黒っぽい色をしています。歯茎の奥深くにある歯石は硬くて取り除きにくいため、歯茎を切って開き、除去することもあります。

なぜ歯石があるとよくないのでしょう。歯石の表面はザラザラしていて汚れや細菌がつきやすくなるため、口の中が不潔になります。また、歯石に含まれる細菌により炎症を起こし、出血、歯茎の腫れ、口臭の発生、歯の周りの骨の吸収(骨の量が減っていくこと)などがみられます。さらに、細菌が血流に乗って全身をめぐると、細菌がもつ毒素や炎症の際に産生される物質などによって血糖を下げるインスリンの作用が弱められたり、血栓ができやすくなったりするほか、関節リウマチやアルツハイマー型認知症などにも影響することがわかってきました。全身麻酔をかけて行う手術の際は口の中の細菌が原因で肺炎を起こすことがあるため、手術前に歯石を取るなどして口の中をきれいにしています。

歯石が付きやすい場所は歯磨きがしづらいですが、ぜひ歯垢のうちになんとか除いておきたいものです。歯石を取り除くことで口の中の環境がよくなり、全身の健康にもつながります。ぜひ歯科医院で定期的に取り除いてもらうようにしましょう。

◆中塚 美智子 大阪歯科大学医療保健学部教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士。

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