【松本浩彦医師】ご存じですか? 鮭とサーモンの違い

 サケの缶詰、わたし大好物なんですが、缶の表記を見ると「カラフトマス」と書いています。シャケ缶なのにマス?…ちょっと調べてみました。

 結論から言うと、日本語では「サケ」と「マス」に明確な区分はありません。英語では海に下るものをサーモン(サケ)、川などの淡水で生活するものをトラウト(マス)と呼び、住む場所によって名前が変わります。川でヒメマスと呼ばれる魚が、海に下るとベニザケと呼ばれます。サケもマスも海と淡水の両方で生活できるという、珍しい性質が関係しているのです。

 河川に残ればヤマメと呼ばれる魚が海に下るとサクラマスになります。ヤマメはだいたい20センチですが、サクラマスは60センチまで成長します。カラフトマスは全ての個体がいちど降海し、2年ほどで北海道の河川に遡上(そじょう)してきます。ノルウェー産で有名なキングサーモンの和名はマスノスケと呼ばれますが、日本ではほとんど獲れません。

 日本で食用にされているサケ・マスの中で、天然物は「太平洋サケ」と呼ばれ、シロザケ・キングサーモン・ギンザケ・ベニザケ・カラフトマス・サクラマスの6種類です。日本で「鮭」といえばシロザケのことで、日本近海・ロシア・カナダでも漁獲されます。春に降海した稚魚は3~5年の海洋生活を経て秋に川を遡上します。

 ところで鮭とサーモンの違いはご存じですか。鮭は煮たり焼いたりして火を通して食べますが、サーモンはお寿司・お刺身など生のままで食べられます。天然のものを鮭とし、生食用に養殖したものをサーモンと呼ぶのです。天然鮭には寄生虫が多く、北海道では古くから、いちど凍らせて寄生虫を殺菌してから食べる「ルイベ」という調理法もあります。

◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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