【尾原徹司医師】おならやゲップに悩まされているなら…「呑気症」のサインかも!

 仕事中や人との会話中に突然ゲップやガス(おなら)が出そうになったりして、困ったという人は少なくないと思います。胃や腸の調子が悪い時も同様の症状がみられます。普段からゲップやガスに悩まされているなら、もしかして「呑気症(どんきしょう)」の可能性があります。

◆「呑気症」ってどんな病気?

 「呑気症」は別名「空気嚥下症(くうきえんげしょう)」ともいわれています。大量の空気を飲み込むことによって、胃や食道、腸に空気がたまり、ゲップなどが引き起こされる症状のことです。

 正常な人でも食べ物と一緒に多少の空気は飲み込んでいます。しかし、呑気症の場合は食事以外でも無意識に大量に空気を飲み込むため、それがもとで腹部が張ってゲップにつながっているのです。ゲップだけでなく、腹部膨満感やガス、胸焼け、上腹部痛などの症状が出ることもあります。なかには、空気で胃が膨張して心臓が圧迫され、胸部に痛みを覚える人さえいます。

◆ストレスも原因のひとつ

 早食いが原因だったり、炭酸飲料を飲み過ぎてなったりもしますが、近年増えているのがストレスによる呑気症です。不安や緊張した時に唾を飲む経験をすることがあると思います。頻繁に唾を飲むと、同時に空気の飲み込む量が増えて、胃や腸にたまり、ゲップやガスが出やすくなります。加えて、人前でのゲップやガスを恥ずかしく思うあまり、多くの人が我慢しようとするので、それが新たなストレスになって引き起こされるという悪循環を繰り返すことにもなります。

◆歯のかみしめで起こるケースも

 また「歯のかみしめ」が原因で呑気症になる人もいます。緊張すると「歯を噛みしめてしまう」という人が多く「噛みしめ呑気症候群」ともいわれています。噛みしめ呑気症候群になると、ゲップやガス以外にも頭痛や肩こり、歯の摩耗、歯肉炎、アゴの痛みなども起こしやすくなります。

◆自己判断は禁物、予防に努めましょう!

 以上のように原因は①「ストレス」②「噛み癖」③「歯の噛み合わせ」④早食いなどですので、心当たりのある人は「呑気症」に要注意です。

 典型的症状であるゲップやガスが頻繁に起こる人は、内科や消化器科を受診し、胃や食道、腸などに異常がないかを調べてもらいましょう。「呑気症」は知らないうちに大量の空気を飲み込んでしまうことで起こるため、胃カメラなどで調べても原因がわからないといわれることもあります。原因が特定しづらいケースもあり、治療に時間を要するかもしれませんが、気長に治していきましょう。

 呑気症の予防には日常の生活習慣を見直すことも大切です。早食いをやめ、炭酸飲料や胃に負担のかかる食べ物はできるだけ控えて、栄養バランスのいい食事を心がけましょう。ストレス解消をはかることも大切です。噛み癖のある人は治す努力をしてください。

 注意したいのは、何事も自分で勝手に決めつけないこと。「大した病気でない」と思い込んで放置した結果、後から重い病気だとわかり、手遅れになるケースもあります。呑気症と思われる症状が気になったら、まずは病院へ。

◆尾原徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。他に介護老人保健施設「コスモス苑」、「つかさ訪問看護ステーション」、「つかさ在宅ケアセンター」「人工透析センター」なども運営。

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