【松本浩彦医師】だるい、つかれる…原因不明の体調不良 ビタミンとミネラル不足が原因かも

 自粛、ストレス、運動不足。このところ原因不明の体調不良を訴える患者さんが増えています。多くは病気というより栄養障害、とくにビタミンとミネラル不足が原因です。食事の欧米化で炭水化物が増え、脂質・ビタミン・ミネラルの摂取が30年前に比べて半分以下に減っているというデータもあります。

 亜鉛、鉄、ビタミンB1・B2が不足すると、大量の放射線を浴びた時と同じくらいのDNAが障害されるという報告があります。今回はその中でも「鉄」の役割について考えたいと思います。一般に貧血の診断には「ヘモグロビン値」が使われますが、これは鉄分不足を正確に反映しません。鉄分不足になると、ヘモグロビンが下がる前に「血清フェリチン値」が下がります。一般にはあまり測定しませんので見落とされがちです。

 フェリチンの役割は鉄の貯蔵です。体内で鉄が不足すると、肝臓や脾臓に蓄えられたフェリチン=貯蔵鉄を取り崩して、貧血にならないようにします。この貯蔵鉄は予備としてあるものですが、実は頭痛・肩こり・うつ症状などの原因が、このフェリチン=貯蔵鉄が減ることと深い関係にあります。体内での鉄の役割は、酸素を身体のすみずみまで運ぶことです。「つかれ」や「だるさ」の原因のひとつに、体内での鉄分不足があるのです。

 ところが、医師が処方する鉄剤は含有量が多すぎるため胃腸障害を起こしやすく、胃の不快や食欲不振を招くことがあり、これでは本末転倒です。私は鉄欠乏の患者さんに、牛や鳥のレバーや貝類の摂取をおすすめしていますが、レバーが苦手の女性には、薬局で売っているサプリをすすめます。「薬を出さずに薬局で買えなんて、変な先生」とよく言われます。

◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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