【松本浩彦医師】「良くなってもまだ飲むの?」と思うあなたへ…出された薬は最後まで飲み切りましょう

 これまでカゼをひいた時やケガをした時、抗生物質や抗菌薬、いわゆる「化膿どめ」と言って薬を出された経験は誰でもお持ちでしょう。化膿どめをもらった時、みなさん指示された通りに最後まで飲み切っていますか?実はこれ、とても大切なことなんです。

 抗菌薬は細菌と闘う薬で、細菌によるさまざまな感染症に対して処方されます。ひと口に抗菌薬と言ってもいろいろあります。細菌にさまざまな種類があるように、それらに対抗できる抗菌薬も異なります。そして飲み方もさまざまで、1日1回飲む薬もあれば、1日4回飲む薬もあります。「容量依存性」、「時間依存性」と呼ばれますが、抗菌薬の種類によって、飲み方が違います。

 1日4回飲む抗菌薬を1日1回だけ飲んでもダメですし、逆もまた同じです。年齢、体重、腎臓や肝臓の機能。私ども医者は患者さんに合わせて処方しています。まさに「個別化医療」ですね。最適な種類と量を選んでいるつもりです。だからこそ、処方された飲み方を守ることは、病気を確実に治すためにも、副作用を減らすためにも重要なことなのです。

 良くなってもまだ飲むの?と思われるでしょうが、抗菌薬は処方された期間、最後まで飲まないと、感染症が完治しないだけでなく、逆に薬剤耐性菌を生んでしまう危険性が生まれます。医者がそこまで考えて処方しているのに勝手に中断して、後で飲むために残しておいたり、他の人に処方された抗菌薬を貰って勝手に飲んだりする、そんな不届きな患者さん、結構たくさんおられます。

 薬を正しく飲むための第一歩は、薬のことを正しく知ることからです。分からないことがあれば、医者や薬剤師に遠慮せずに相談してくださいね。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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