【松本浩彦医師】インフルエンザが流行しないと予想する3つの理由

 インフルエンザの流行期が近づいてきました。みなさんのご心配は新型コロナとの関係でしょう。高熱が出た時、本当に医者に診てもらえるのか。きちんと鑑別診断してもらえるのか。実は私ども臨床医の間でも、まだはっきりした道筋は立っていません。現場の判断に任せる、というのが現状です。医者ですらいまだ暗中模索なのです。

 ここで私の予想。今冬、日本ではインフルエンザは流行しません。理由は3つ。まず今夏の南半球での流行状況。オーストラリア、ニュージーランド、南米などでは全くといっていいほど流行しませんでした。例年の千分の一という報告もあります。

 そして人々の衛生観念の変化。マスクを常用し、3密を避け、手洗いにアルコール消毒。こういった対コロナの生活習慣はインフルエンザに対しても非常に有効です。最後に私たちが最も重要視している「ウイルスは縄張り意識が強い」という点です。ウイルス同士の干渉作用とも呼ばれます。

 新型コロナもインフルエンザも呼吸器に侵入するウイルスです。同じ臓器に侵入するウイルス同士は、片方が大流行するともう一方は流行しなくなります。まだメカニズムは解明されていませんが、優勢になったウイルスが侵入部位となるレセプターを占有するから、と考えられています。

 今冬は「コロナの勝ち」になるでしょう。南半球でインフルエンザの流行が「消えた」3つの要因は、そのまま今冬の日本にも当てはまります。例年10月末には、あちこちで小流行が発生するのですが、その報告すら今年は全くありません。ただし、インフルエンザが流行(はや)らないということは、新型コロナの流行は続くということです。まだまだ油断しないでください。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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