【尾原徹司医師】医療関係者も恐れる新型コロナとインフルエンザの「同時流行」

 朝晩の冷え込みがグッと厳しくなってきました。インフルエンザの流行シーズン到来です。例年と違って今年はコロナ禍で迎えるため、危惧されるのは症状が似ていて判断しにくく、かつ「同時流行」の危険性もはらんでいることです。また通常の風邪もあり、一般の人だけでなく、戦々恐々としている医療関係者も少なくないと思います。

 例年、インフルエンザは秋口から翌年3月頃にかけて流行しています。さらに、今年の場合は晩秋に入り、新型コロナの感染再拡大が危惧されています。怖いのは「同時流行」の可能性があるということ。そのためにも、インフルエンザの流行を抑えることが大切です。

 Withコロナ時代の今年はインフルエンザのワクチン接種の注目も高く、10月1日からは重症化しやすいといわれている65歳以上の高齢者のインフルエンザ予防注射がスタート。10月26日からは医療従事者、妊婦、児童らを優先しながら、一般の人への接種も始まりました。一部のクリニックでは、予防注射の予約自体、困難な状況が続いているといいます。予防として、ワクチン以外にも手洗いやうがいは重要で、屋内でのマスク着用は守りましょう。

 患者さんからの質問で「新型コロナとインフルエンザはどう見極めるのですか?」というものが増えています。正直言って、医療関係者でも見極めるのは難しいです。新型コロナもインフルエンザもともに「呼吸器感染症」で、症状もよく似ています。たとえば発熱、頭痛、筋肉痛、咳といった症状はどちらにも見られます。

 新型コロナの特徴的な症状の一つに「嗅覚・味覚障害」がありますが、この症状が必ず出るというものではありません。インフルエンザは38℃以上の高熱になります。新型コロナは発熱がありますが、全員が高熱を出すわけではありません。しかし、体温一つで決めつけるのは危険です。新型コロナの中にはインフルエンザ同様に38℃以上の高熱が出た人も少なくないからです。

 新型コロナやインフルエンザにかかっているかどうかを知る方法は、やはり「迅速抗原検出キット」などを使った検査を受けることが必要です。

 頭痛、筋肉痛、頭痛、咳などの症状があり、38.5℃以上の高熱があれば、インフルエンザの可能性があります。まずは、電話でかかりつけ医や地域の受診相談センターなどに相談してください。

 発症後48時間以内であれば抗インフルエンザ薬の効果が期待できます。気をつけたいのは、一般的な風邪と違い、インフルエンザは咳などで空気中に飛び散ったウイルスから感染します。感染力が強いので、出社や登校で感染が広がる可能性があります。そのため、医師などの指示を仰ぎ、外出は控えましょう。

 また、インフルエンザと診断されたら、無理はせず、十分な休養をとることが大切です。水分補給や栄養面にも気をつけましょう。換気はこまめに行い、口の中の乾燥を防ぐにはマスクが効果的ですが、苦しければ、外しましょう。

 ◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。他に介護老人保健施設「コスモス苑」、「つかさ訪問看護ステーション」、「つかさ在宅ケアセンター」「人工透析センター」なども運営。 

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