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【矢木崇善医師】汚染された細かい水滴で感染?給湯器、家のお風呂だって危ない「レジオネラ菌」

 名古屋市内のスーパー銭湯の利用客が「レジオネラ症」を発症し、その後、同銭湯から「レジオネラ菌」が検出され、ニュースになりました。これまでにも入浴施設などで感染した例がいろいろと報告されています。家風呂などでもレジオネラ菌が発生する危険性があり、決して人ごとではありません。今回はそのレジオネラ症についてお話させていただきます。

■レジオネラ症ってどんな病気?

 レジオネラ症はレジオネラ菌によって引きおこされ「レジオネラ肺炎」という肺炎性疾患と、非肺炎性疾患の「ポンティアック熱」という一過性の発熱を出す場合とがあります。

 ポンティアック熱の方は急性で、潜伏期間も数時間から2日間ぐらいです。主な症状は発熱で、悪寒、頭痛、咳、倦怠感や筋肉痛です。呼吸症状は軽く、通常は一過性で治ります。

 怖いのは「レジオネラ肺炎」の方です。こちらは潜伏期間が2~10日ぐらい。初期症状は発熱や食欲不振、頭痛、倦怠感など。患者さんによっては筋肉痛、下痢、昏迷を起こすこともあります。痰を伴うこともあり、血液混じりの痰や血痰が出てビックリされることも少なくありません。怖いのは、急速に症状が悪化し、死に至ることもあります。

 レジオネラ症はとくに乳幼児や高齢者など抵抗力の弱い人、喫煙者、お酒をよく飲む人が罹患しやすいので、注意が必要です。

■原因は広く生息しているレジオネラ菌

 レジオネラ症の原因はレジオネラ菌です。河川や湿った土壌など自然環境中にいる細菌で、身近に生息しています。20~50℃の温度の水まわりにいて、増殖していきます。

 循環式浴槽水や空調の冷却塔水、給湯器の水などでも生息でき、アメーバに寄生する形で増殖するといわれています。例えば、入浴施設の浴槽や配管の内壁などは「ヌメリ(生物膜=バイオフィルム)」ができやすいので、その内部で増殖していることも多いと思います。そこで、ヌメリを防ぐためにもこまめに掃除することが重要です。また、浴槽だけでなく、配管や循環ろ過装置内にも気を配ることが必要で、浴槽水は常に入れ換え、消毒の徹底も心がけましょう。

 ちなみに、感染の経路はレジオネラ菌に汚染された「エアロゾル(空気中に漂う微細な粒子)」を吸い込むことによって起こります。

■気になる治療法は?

 レジオネラ症も早期診断、早期治療が重要です。レジオネラ肺炎はレジオネラ菌による細菌感染症なので、抗菌薬で治療することができます。症状に気づいたら、すぐに専門医に診てもらいましょう。

 ポンティアック熱は抗菌薬なしでも数日以内に改善しますが、ポンティアック熱かどうかの素人判断はやめましょう。違う病気の可能性もあり、やはり、専門医の診断を仰いでください。

◆矢木 崇善(やぎ・たかよし) 医療法人弘善会理事長、医学博士。1988年、大阪市住之江区に救急病院『矢木外科病院 』、1991年には救急病院『弘善会病院』、2008年「必ず命をその場で救える医療」を目指し、東成区に脳外科・整形外科を中心とした「脳卒中外傷センター」の機能を備えた「矢木脳神経外科病院」を設立。弘善会グループは急性期医療から在宅医療、介護、保育まで「トータルケア」を目指しています。

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