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【尾形愛医師】清涼飲料水の飲み過ぎが原因の「酸蝕症」に要注意

 猛暑が続く今夏。清涼飲料水やスポーツドリンクなどを飲む機会が多くなったのではないでしょうか。しかし、そのようなものをあまり頻繁に摂取すると、歯が溶ける「酸蝕(さんしょく)症」になる可能性があります。

■「酸蝕症」ってどんな病気?

 「酸蝕症」とは、あまり聞き慣れない言葉ですが、酸によって歯が溶ける症状を指しています。むし歯同様に歯が溶けてしまう病気ですが、むし歯が細菌によって起こるのに対して、酸蝕症は酸性の飲食物や体の中の胃酸などによって引き起こされます。

 最近、歯が薄くなったり、表面が白濁したり、また歯に穴が開いたり、詰め物が取れたりしていませんか?歯はもともと「酸」に弱く、歯の表面を覆っているエナメル質はpH5.5以下になると溶け始めます。中性はpH値7で、それより数値が小さければ酸性、大きければアルカリ性です。

 水は中性、お茶はpH6ほど。これに対して、ビールやコーヒーなどはpH5、オレンジジュースやワインなどはpH4、スポーツドリンクやビネガーはpH3、胃酸や清涼飲料水はpH2と酸性が強くなります。

 また意外と栄養ドリンクもpH2.5と酸性の強い飲み物というのも覚えておいてください。さらに、酸性の飲食物の中に「糖」が含まれていると、歯が溶かされやすくなるので要注意です。

 近年「酸蝕症」の人が増えているのですが、コンビニなどで手軽に買えることもあって、若い人たちを中心に清涼飲料水の摂取量が増加しているのも、要因の一つだと考えられます。とくに今夏は猛暑で、暑さのため、飲料水を飲む機会が増えたことも見逃せません。

 健康ブームともあいまって、乳酸飲料やクエン酸、ワインなどの摂取量も増えています。特にいまは外食を控えて家飲みをする人が多くなっていますが、飲み物だけでなく、おつまみにも気をつけてください。また、胃の中の酸が食道へ逆流する「胃食道逆流症」の患者さんも増加傾向にあるので注意してください。

■予防法は?

 酸性飲食物を適度に摂取しているなら、あまり気にすることはないのですが、食べ方や飲み方によっては酸蝕症になる危険性が高まります。

(1)がぶ飲みはNG

暑いからといって、清涼飲料水やスポーツドリンクのがぶ飲みはやめましょう。

(2)チビチビ、ダラダラはNG

ワインなどお酒をチビチビ長時間飲むのは危険です。

(3)寝る前に酸性飲食物を食するのはNG

就寝中は唾液分泌が少なくpHが戻りにくいため、寝る前に酸性飲食物をとるのはやめましょう。

(4)酸性の飲食物とり過ぎはNG

暑い夏は酸性の飲食物をとりがちですが、歯だけでなく体の健康を保つためにも飲み物はできれば水やお茶にしましょう。

 酸蝕症もむし歯同様、初期は無症状で、気づかない人も少なくありません。できれば、歯科の定期検診を受けるようにしたいですね。

◆尾形愛 一般歯科、矯正歯科、中でも小児歯科医として子供たちの治療に20年以上携わる。2005年より訪問診療にも従事し、赤ちゃんから高齢者まで幅広く対応。2014年一般社団法人HEALTHY ORAL PROJECTを設立し、代表理事に。

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