【尾原徹司医師】夏に増える「アイスクリーム頭痛」にご注意を コロナ禍で「マスク頭痛」も心配です

 気温が上がると、自然と冷たい飲み物や食べ物に手がいきます。それは、暑い季節はカラダも熱をもつため、冷たいものを欲するようになるからです。ところで、アイスクリーム、かき氷など冷たいものを食べたり、飲んだりした時、キリキリとした、あるいはキーンとくるような頭痛を経験したことはありませんか?

■冷たいものでなりやすい「アイスクリーム頭痛」

 冷たいものを食べた直後に起こる、あのキーンとした頭痛はストレートに「アイスクリーム頭痛(Ice-cream headache)」と呼ばれます。驚くなかれ、医学用語です。英語では「brain freeze」ともいわれています。翻訳すれば「脳の凍結」ですが、冷たいものを急いで食べた時に頭がキーンとなるという意味だそうです。「寒冷刺激による頭痛」に分類され、メカニズムには諸説あるようです。

 よくいわれている説が2つあります。ひとつは冷たいものを食べると、あるいは飲むとノドの三叉神経が刺激され、この時に脳への伝達信号が冷たさを痛みと勘違いし、頭痛が起きるという説です。

 もうひとつはノドや口の中が急に冷やされ、強い刺激を受けて、カラダがあわてて反応し、体温を維持しようと血液量を一時的に増すために血管が拡張して、頭痛が生じるという説です。

 脳に伝達される時、冷たさだけでなく、痛みを伝える神経もなぜか刺激され、こめかみの裏辺りがキーン(あるいはキリキリ)と痛くなるのだそうです。

 アイスクリーム頭痛は長くは続かず、しばらくしたら治まるのが普通です。対処法ですが、「冷たいものを早く飲み込むと頭痛を起こしやすい」といわれていますので「ゆっくり食べる(あるいは飲む)」ことです。また、キーンときたら、ぬるま湯とか温かいお茶を飲むと緩和されるかもしれませんね。

■コロナ禍で注意したい「マスク頭痛」

 今年はもうひとつ、気をつけてほしい頭痛があります。コロナ防御のためにマスク着用が一般的になってきました。しかし、怖いのは長時間のマスク着用により「熱中症」のリスクが増し「マスク頭痛」を訴える人も稀ではないということです。

この時期にマスクを常時つけているとどうなると思われますか?

1)炎天下でマスクを着用して歩けば、マスクの内側の温度は急上昇します

2)暑さや息苦しさを感じます

3)十分な酸素が吸えず、二酸化炭素が含まれた空気を吸うことになります

4)マスクのゴムでコメカミに負担がかかっています

 熱中症だけでなく、マスク頭痛が起こりやすい条件が揃ってきます。また、ジメジメした梅雨時も起こりやすくなります。

では、マスク頭痛対処法は? 以下のようなことに注意してみてください。

1)そばに人がいなかったり、ソーシャルディスタンスが保たれていたりする時はマスクを外し、新鮮な空気を思いきり、吸ってください

2)適度な水分補給も大切です。

3)マスクのゴムを一工夫しましょう。耳にかからないようにしたり、ゴム部分をゆるめたりすれば、締め付けが緩和され少しはラクになるかもしれません。

 マスク頭痛にしても、アイスクリーム頭痛にしても、ひどい場合は専門医に相談してみてくださいね。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。

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