【松本浩彦医師】「世界の歴史に影響を与えてきたインフルエンザ 語源はラテン語「星の影響」

 新型コロナウイルスばかり注目されていますが、B型インフルエンザが流行期に突入しています。初期の問診だけでは、私たちでもコロナウイルスと鑑別がつきません。検査キットでインフルエンザが陽性だったら、むしろ安心してしまうくらいです。

 そもそもインフルエンザはいつから人類を脅かしているのでしょう。平安時代の書物に「全国にわたって多くの人が『咳逆』(がいぎゃく=古語で咳の出る病気)を患い、多数の死者が出た」という記述があるそうです。近代に目を移すと「スペイン風邪」抜きには語れません。

 第一次世界大戦当時の新型インフルエンザで、抗生物質も発見されていない時代ですから、手洗いやうがい、患者の隔離くらいしか打つ手がなかったのは容易に想像できます。世界の死者は5000万人以上。まさにパンデミックです。日本でも1918年に流行し、40万人が死亡しています。

 紀元前412年には古代ギリシャの医師ヒポクラテスが「住民たちが突然の高熱を出し、たちまち村中に同じ症状が広がったが、すぐに去った」という記録を残しています。インフルエンザという概念がここ100年のことですので真偽は不明ですが。

 インフルエンザの言葉の由来は、ラテン語で「星の影響」を意味します。毎年、冬から春にかけて流行するという周期性から、当時の占星術師がこのように呼んだらしく、アイドルグループの有名な楽曲名も、語源は同じなんですね。

 インフルエンザのパンデミックは、これまで何度も世界の歴史に大きな影響を与えてきました。スペイン風邪は戦力不足から第一次世界大戦の終結を早めました。新型コロナウイルスが米中貿易摩擦に影響を与えることになるかもしれません。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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