【谷光利昭医師】ロキソニンは効きますが…「諸刃の剣」であることを忘れずに

 「先生、ロキソニンちょうだい!!」。こういった患者さんが時々おられます。この言葉には、大きな問題があります。ロキソニンは非常に素晴らしい薬です。頭痛、関節痛、歯痛、筋肉痛、月経痛、術後疼痛(とうつう)などさまざまな痛みに効果があります。即効性があり効果抜群のために薬局などでも簡単に手に入るようになったのでしょう。ただし、沢山の副作用があることを知らない方も多いのではないでしょうか?

 こういった切れ味の鋭い薬は「諸刃の剣」であることが多いことを理解しておかないと大変なことになります。最近は少なくなりましたが、ロキソニンの副作用で多く認められていたのが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍でした。私が医師になった頃は、薬が発売されてから7年ほどで、この合併症が周知されていませんでした。そのためにロキソニン単独での処方がされることもあり、胃潰瘍などの合併症が多くあったような気がします。現在、病院でロキソニンが処方される際には、必ず胃薬と一緒に処方がなされます。

 最悪のケースは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍で腹痛が起こっているのにも関わらず、腹痛があるからといって、患者さん自身の自己判断でロキソニンをたくさん飲んで、潰瘍から大出血を来したり、潰瘍部分が破れてしまうケースです。

 そのほかには、気管支炎、肺炎などで高熱が出ているため、ロキソニンを飲み続けた場合です。熱が下がるために身体は楽になるのですが、根本的な治療がなされておらず、病気そのものは悪化します。最終的に重症化してからの来院となり、困難な事態になる可能性もあります。

 インフルエンザも流行しています。ロキソニンなどの痛みをとる薬、熱を下げる薬の内服は注意が必要です。使い方を間違えなければ、ロキソニンは非常に素晴らしい薬です。しかし、間違えると命取りになることをよく理解して内服して頂きたいです。実はもう一つ問題があるのですが、それは機会があれば説明させていただきます。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで「町医者の独り言」を連載中。

編集者のオススメ記事

ドクター備忘録最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス