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【中塚美智子医師】子どもに潜む恐ろしい「口腔崩壊」の実情

子どもの口腔崩壊は深刻化しつつあります(C)tatsushi-Fotolia
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 「口腔(こうくう)崩壊」という言葉をご存知ですか?何とも恐ろしい響きです。これはまだ明確に定義されていませんが、10本以上の虫歯がある、治療していない歯が何本もある、これらが原因で食べ物がうまくかめない状態をいいます。昨年東京歯科保険医協会が小中学校を対象に行った調査では、アンケートに回答した小学校の約4割、中学校の約3割に口腔崩壊と考えられる子どもがいたと答えています。

 原因として子ども自身に問題がある場合もありますが、保護者が忙しくて歯科医院に連れて行く時間が取れない、治療費の負担が難しい、乳歯はいずれ生え変わるからと考えて治療させようとしないなど、家庭全体に何らかの問題がある場合が少なくないようです。

 受診させるために仕事を休まなければならなかったり、保護者自身に子どもの歯や口のことまで構っている余裕がなかったりすると、子どものために何とかしたいと思っていても家庭だけでは解決が困難な状況がありそうです。この話を耳にする度に本当に心が痛みます。

 医療職に就いている方々、またこれから就こうとしている方々(本学の学生も含めて)の大半は、「人を助けたい」、「人の役に立ちたい」と考えてこの道を選ばれていると思います。実際、医療機関を訪れる方々、医療サービスの提供を受けられる方々に対し、医療スタッフは本当にさまざまな形で患者さんを助け、心の支えになっています。

 しかし、口腔崩壊の問題も含め、手が回っていない、目が配られていないところにこそ実は助けを求めている人が大勢いるのに、その方々にとって医療、ひいては社会全体がものすごく遠くにあるような気がしてなりません。元気な子どもの笑顔であふれる社会になるべく、この距離を縮めるためにできることを、未来の医療人を世に送り出す立場から今一度考えていきたいと思います。

 ◆筆者プロフィール 中塚美智子(なかつか・みちこ)大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント。「歯科医療の発展が日本を元気にする」と信じ、日々未来の歯科衛生士、歯科技工士の養成に携わっている。

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