【中塚美智子医師】災害発生時にできる口のケアを考えよう

 今年関西は豪雨、地震、台風と立て続けに天災に見舞われました。全国的にも大きな災害が頻発し、今もなお避難生活を送られている方もいらっしゃるでしょう。被害を受けられた方々に謹んでお見舞い申し上げます。

 避難生活では水が自由に使えないことが多いですね。阪神淡路大震災の時、自宅の水道が2カ月止まりました。できるだけ水を使わないようにしていましたが、実はペットボトルのキャップ4杯分の水でも、2~3回に分けて口に含み、口の中全体に水を行き渡らせるようにしてうがいをすると案外さっぱりします。

 口の中で使える、アルコールを含まないウェットティッシュがある場合は、指に巻き、歯を拭って口の中をケアすることもできます。歯ブラシがあれば、水に歯ブラシをつけ、ウェットティッシュなどで歯ブラシの汚れを取りながら歯を磨き、最後にペットボトルのキャップ約4杯分の水を数回に分けて口をゆすぎましょう。

 入れ歯をお使いの方は洗うことをためらわれるかもしれませんが、1日1回は外してウェットティッシュ等で拭いましょう。避難中は厳しい状況が続きますが、口の中をできるだけきれいに保つことが誤嚥(ごえん)性肺炎の予防につながります。

 口や喉の筋肉を動かして誤嚥を防ぐとともに、避難生活のストレスを少しでも和らげる「パタカラ体操」をご存じですか。私たちは今年2月に参加した「第2回よどがわ防災まつり」で、「線路は続くよどこまでも」の曲に合わせ、参加された方々と一緒に体操しました。

 次回は11月3日に大阪・枚方市で開催され、私たちも参加予定です。パタカラ体操はもちろん、うがい体験ブース、避難時のお口のケアグッズの展示コーナーも設けます。災害発生時にできるお口のケアについて、私たちと一緒に考えませんか。

 ◆筆者プロフィール 中塚美智子(なかつか・みちこ)大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント。「歯科医療の発展が日本を元気にする」と信じ、日々未来の歯科衛生士、歯科技工士の養成に携わっている。

編集者のオススメ記事

ドクター備忘録最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス