第１００回全国高等学校野球選手権記念大会で旋風を巻き起こした、秋田県立金足農業高校。彼らを支えたのは日々の厳しい練習はもちろん、伝統の「雑草魂」と呼ばれる精神力の強さ、また自校の校歌を胸を張って堂々と歌う姿に表れていた素直さ、ひたむきさ、自信ではなかったでしょうか。普段私達がなかなか表に出せないものを前面に出し、一球一球に全力で挑む球児達の姿に、個人的には憧れに近いようなものも感じつつ応援していました。

　エースの吉田輝星投手らの全力プレーを支えていたのが、デイリースポーツなど多くのマスコミで報じられたマウスガードだと言えるかもしれません。歯や口のけがを防ぐためにマウスガードを用いることで、選手は試合中に思い切って動くことができるようになると考えられます。

　またマウスガードの使用によってかみ合わせが安定したり、首の筋肉の筋力が大きくなったりすることが報告されていますが、これが頭部を安定させ、体のバランス機能の向上につながるようです。

　さらにスポーツをしている時に歯をグッとかみしめることがありますが、健康な成人男性の場合、奥歯で平均約６０キログラムの力がかかると言われています。マウスガードはこのような歯への大きな負担を減らす効果もあります。

　マウスガードはぜひ自分の口に合わせたものを使いましょう。安全で効果的です。日本スポーツ歯科医学会では、マウスガードの製作技工能力に優れている歯科医師あるいは歯科技工士を「認定マウスガードテクニカルインストラクター」と定めています。

　東京オリンピック、パラリンピック開催まであと２年。マウスガードで口のけがを防ぎ、さまざまな競技で最高のパフォーマンスを見せてくれる選手の活躍を楽しみにしたいものです。

　◆筆者プロフィール　中塚美智子（なかつか・みちこ）大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント。「歯科医療の発展が日本を元気にする」と信じ、日々未来の歯科衛生士、歯科技工士の養成に携わっている。