【松本浩彦医師】水イボは皮膚科へ…“努力”している先生を探そう

 「水イボ」は正式には伝染性軟属腫といい、ポックス・ウイルスの一種が原因の、れっきとした皮膚ウイルス感染症です。皮膚のバリア機能が完成していない幼少児に好発し、痒みがあるので子供は掻(か)きむしり、ウイルスまみれの指で他の部分を触るため、あっという間に全身に広がります。

 世間のお母さんは水イボに関して2つの知識を持っています。(1)自然に治癒することがある(2)皮膚科に連れて行くとピンセットでむしり取られるので、子供は号泣して暴れまわる-なのでお母さんたちは、わが子の水イボを見つけても放置するのです。

 (1)は間違いです。自然治癒例はだいたい30人に1人。残り29人は自然治癒どころか、1日経てば2倍に増える「倍々ゲーム」です。でも、(2)は正解。生で引き千切られるのですから、大人だって泣きわめきます。

 でも、水イボは1個でも見つけたら皮膚科に連れて行かなければなりません。そしてここからが重要。皮膚科の先生も鬼ではありません。あらかじめ麻酔のテープを貼ってから摘除してくれる先生や、ウオノメなどに使うサリチル酸テープを2日前に貼って、白くフヤけさせてからガーゼでこすって、引きちぎらずに摘除してくれる先生もいます。

 水イボを生で引き千切られたら、その先生を大嫌いになって当たり前。でも、お子さんを医者嫌いにさせたくないから、先生だって工夫するのです。

 どちらも経営的には赤字の治療です。時間もかかります。でも痛い思いをさせないよう努力している先生を探して、水イボを見つけたら、そんな先生の元に連れて行ってあげてください。全身で200個ぐらい水イボができた子が来たら、うちはその子にかかりっきり。一時休診になります。

 ◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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