【松本浩彦医師】意外と知られていない「とびひ」耐性菌も増加傾向に

 【Q】小学2年の息子の顔に発疹ができて痛がるので病院に行きました。とびひと診断されましたが、どんな病気ですか?(40代男性)

 【A】夏に多いのですが、全身の皮膚に小水疱(すいほう)ができ、化膿(かのう)している子供さんの多くが受診して、かゆみと痛みを訴えます。伝染性膿痂疹(のうかしん)、俗にいう「とびひ」には水疱性膿痂疹と痂皮(かひ)性膿痂疹があります。

 子供は水疱性膿痂疹を発症しやすいと言われており、大人がかかりやすいのが痂皮性膿痂疹です。水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹では原因菌が異なり、前者の原因は黄色ブドウ球菌です。のどや皮膚、鼻の中などに常在しているため、大人でも感染する可能性があります。後者の原因はA群β溶結性連鎖球菌ですが、黄色ブドウ球菌による感染を併発することもあります。

 伝染性膿痂疹は皮膚に菌が感染し、水疱・びらんや痂皮ができる疾患です。初めにかゆみが強いため水疱を手でかきむしり、菌のついた指で他の部位を触る事で急速に周囲に広がっていきます。初感染は主にプールや水遊びです。プールは消毒薬が入っているのでまだ安心ですが、よく公園の噴水や住宅街の人工河川などで水遊びをしている子供たちを見かけることがあります。あれはもう非常に危険ですね。雑菌の温床ですから。

 治療は病変部の消毒、抗生物質含有軟こうの塗布と抗生物質の内服です。シャワーで体をよく洗った後に軟こうを塗布します。水疱の部分をガーゼで覆って、かきむしらないようにすることも大切です。

 最近の傾向として、一般的に使われる抗生物質が効かない「耐性菌によるとびひ」が多く見られます。小児にはあまり使わない、少し強めの「ニューキノロン」タイプの抗菌剤でないと効果のない難治性の膿痂疹が多く、私の場合、初めのうちは一般的な抗生剤を使用し、2日経って改善しない場合は、思い切って前述のニューキノロン抗菌剤を短期間だけ使うことにしています。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤プラセンタ学会会長。

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