【荒木正医師】狭心症の検査はさまざま 異常あれば冠動脈造影も

 【Q】階段を昇ると胸が痛くなるので、受診したところ狭心症の疑いがあると言われました。外来で精密検査するように言われましたが、どのような検査を受けるのでしょうか?(60代男性)

 【A】狭心症は心臓の外側を取り囲むようにある冠動脈が、動脈硬化の影響で閉塞しかかってしまい、胸痛などを生じる病気です。一般的には走った際などの労作時に前胸部の痛みを生じることで受診されることが多いですが、高齢者や糖尿病の方は症状が出にくく、心電図などの検査をきっかけに気づかれることもあります。

 狭心症の検査としては負荷心電図、冠動脈CT、心筋シンチ、冠動脈造影に大別されます。前3者は日帰りで行われますが、冠動脈造影は1~2泊の入院で行うことが一般的です。

 最初の負荷心電図は階段昇降やランニングマシーン、自転車漕ぎなどの労作を行い、施行前と施行後の心電図を比較する検査です。比較的簡便で、費用負担が少ないという長所がありますが、負荷が十分でないと心電図変化が出にくい、高齢者などでは運動が難しいことがある、重篤な狭心症の方では心筋梗塞や不整脈を誘発してしまうことがあるなどの短所があります。

 二つ目の冠動脈CTは一般的なCTを冠動脈に特化して行う検査です。注射による造影剤を腕の静脈に注入してCTを撮影します。冠動脈そのものを描出するために診断精度が高いという長所がありますが、腎臓病や喘息、アレルギーの方では造影剤が使いにくいなどの短所があります。

 最後にシンチ検査ですが、静脈に放射性同位元素の注射を行い、放出される放射線を撮影することで、心臓の動きや血流状態を描出する検査です。ランニングマシーンや自転車、薬物で心臓に負荷をかけ、その前後で撮影し画像を比較します。診断精度が高く、造影剤を使わずに検査が出来る長所がありますが、検査が高価であることや検査施設が限られるなどの短所があります。

 通常はこれらの検査の長所・短所を生かしながら、異常があれば冠動脈造影や治療を行っております。

 ◆荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。

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