【松本浩彦医師】子どもの高熱はまず「冷やす」解熱剤も常備を

 【Q】小学校の低学年の男の子がいます。よく高熱を出すのですが、熱を冷ますにはどうしたらいいでしょうか。(40代男性)

 【A】近ごろ解熱剤の使用は、特にインフルエンザにかかった小児に使用すると脳炎を発症する症例が頻繁に報告されるようになってから、副作用が問題になっています。このため子供さんの発熱に関して、お母さんからよく相談を受けます。いろいろな意見があり、一概には言えないのですが、やはり熱が出たときはまず「冷やす」というのが一番早道です。

 最近では保冷材の入った氷枕や、おでこに貼るシート状の冷却材などが出回っています。37度程度の発熱ですと十分ですが、40度近くなるともっと急速に体温を下げる必要が出てきます。病院などでは、氷を入れたビニール袋を使います。脇の下や太ももの付け根など太い動脈が通る辺りに袋を置くのです。そうすることで血液を直接冷やすことができ、短時間で体温を下げることができます。

 氷枕は首の後ろの動脈を直接冷やす効果があります。しかしおでこを冷やすのは、気持ちは良いですが、体温を下げる効果はむしろ低いです。まず氷枕を置いてみて、効果が出ないときは脇の下や太ももの付け根など、強く脈打っている部分を集中的に冷やしてあげて下さい。

 さて解熱剤の使用ですが、大人は熱が38度も出ればけっこう辛いですが、子供さんは38度5分くらいまで意外と元気です。若いから、と言ってしまえばそれまでですが、小児の発熱は38度5分くらいまでは解熱剤を使わなくても大丈夫です。

 ただし、急激に体温が上昇しているようでしたら、37度台でも、すぐに38度5分どころか、40度近くまで一気に上がることもあります。体温上昇カーブも慎重に観察してください。解熱剤の飲み薬は胃で溶けてから腸で吸収されますので、効果が出るまで時間がかかります。小学校に上がる前のお子さんがいるご家庭では、医師に頼んで座薬の解熱剤を3つほど常備されておくと安心です。

 子供さんは大人に比べて圧倒的によくカゼをひきます。しかも土日祝に多いですよね。2年前に貰った座薬が…とおっしゃるお母さんが多いのですが、2年も経つと成長して体重も増加します。かかりつけの先生と相談して、いざという時の解熱剤くらいは常備しておいてください。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤研究会会長。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

教えてドクターQ&A最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス