【荒木正医師】健診で「不整脈」経過観察がほとんどだが…

 【Q】健康診断の心電図で不整脈を指摘されました。判定欄に「要経過観察」と書かれていましたが、どうしたらいいでしょう?(50代男性)

 【A】健康診断の際の心電図では、動悸や胸痛などの症状がないにも限らず不整脈を指摘されることがあります。不整脈と一言で言っても生命に危険が及ぶような不整脈から、生活する上で全く問題のない不整脈までさまざまなため、どのような指摘をされたかによって、その後の対応が変わってきます。

 不整脈とは言葉の通り「整っていない脈」のことですが、そのためには「整っている脈」とは何かを知る必要があります。心臓は微弱な電気が流れることで筋肉の収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出しています。この電気の流れが正常でなくなることを不整脈と呼びます。

 実際、10秒程度しか記録しない一般的な心電図では問題がなくても、24時間継続して心電図を測定するホルター心電図検査を行うと、健康な人を含めたほとんどの方で不整脈を認めます。心臓は1日約10万回、筋肉の収縮と拡張を繰り返しているため、そのうち1回たりとも不整脈が出ないということはなかなか難しいのです。

 健康診断の心電図でも不整脈と指摘された場合の多くは、そのまま放置していても問題がないケースがほとんどです。具体的には、洞性不整脈、時計回転、低電位、高電位、左軸偏位、右軸偏位、単発の心房性ならびに心室性期外収縮、不完全ならびに完全右脚ブロックなどの心電図異常は多くの場合で経過観察となります。

 一方、ST低下、左室肥大、左脚ブロック、心房細動などの異常では、引き続き心エコーやホルター心電図検査などの検査を受けて頂くことになります。もちろん、これら以外にも多くの心電図異常があり、受診の際には心電図の波形や症状の有無はもちろん、受診者の年齢、性別、家族歴、内服歴、既往歴、生活習慣病の有無などと併せて総合的に診察を行っております。

 ◆荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

教えてドクターQ&A最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス