【谷光利昭医師】ピロリ菌検査はさまざま 状態を確認してチョイスを

 【Q】胃がんになりたくないので、ピロリ菌の検査をしたいのですが、どういう検査がありますか?(40代女性)

 【A】胃がんの原因とされるヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)の検査は、さまざまあります。重要なことは、ピロリ菌の治療だけをしても安心してはいけないということです。

 例えば、ピロリ菌の検査をして陽性でした。その後、治療して除菌しました。だから、がんにならない、とは言えません。ピロリ菌が体内から消えたとしても、がんになる確率はゼロになる訳ではないのです。

 これは、治療するまでの長い年月で既に胃を痛めてしまっている可能性があるからです。除菌しても、それまでに悪化してしまった状態が劇的に改善するわけではないので、がんになる因子は残っているということです。再感染してしまうケースもあります。もちろん、ピロリ菌の検査、治療により、がんになる確率は3分の1から5分の1程度まで低下するのですが、やはり検査による早期発見、早期治療が重要になってくるのです。

 ご理解いただいた上で、冒頭の質問にお答えします。検査は迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験、便中抗原測定の6種類があります。

 難しい話になりますが、最初の3種類の検査は、胃カメラをした際に、生検鉗子(かんし)を使用して胃粘膜を直接採取し、その組織を利用して、ピロリ菌の有無を調べる検査です。これには大きな欠点があります。菌のいない部分の胃粘膜を採取した場合に「いない」と判断されてしまうことです。

 残り3種類は、血液、呼気、便を使用して検査を行います。最も、推奨されている検査は尿素呼気試験ですが、それでも、ある薬を飲んでいるとピロリ菌がいるのに「いない」と判断されます。どの検査にも一長一短があるのです。

 現在、使用している内服薬、体の状態などすべてを考慮して、最もいい検査方法を主治医と相談することが大切です。最後にピロリ菌検査は、医師の診断を受け、胃カメラなどの検査をする上でないと保険が効かないことも覚えておいてください。

 ◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。

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