【谷光利昭医師】大腸の精密検査は内視鏡がお勧め
【Q】健康診断で大腸の精密検査を受けないといけないと言われたのですが、どんなものになるのでしょう?
【A】大腸の精密検査は1種類ではありません。肛門から大腸内にバリウムと空気を注入する注腸検査、肛門から炭酸ガスを注入してCTを利用して大腸を全体的に描出するCT コロノグラフィー、口から特殊なカプセルの飲んで腸管内を観察するカプセル内視鏡(多くの場合、保険適応にならない)、肛門から内視鏡を挿入して大腸全体を観察する大腸内視鏡検査の4種類です。
ただ、カプセル内視鏡は、内視鏡検査ですべての観察ができなかった患者さんや、小腸に病変が疑われる場合に行う特殊検査なので、ここではそれ以上は触れません。
さて、残った3種類の検査ですが、一長一短はあります。注腸検査とCTコロノグラフィーは、内視鏡検査と比較すると“楽”ではあります。大腸のヒダの裏に隠れているポリープの描出も内視鏡より優れています。しかし、術前に飲む下剤で腸管内の便がきれいに排出されていないと検査に支障が出る上に、ポリープなどがあった場合の切除は無理です。さらに被爆という問題があります。
内視鏡検査は、それら2つの検査より苦痛を伴い、約2リットルもの下剤を飲まないといけないというデメリットがあります。苦手にされる人もいます。しかし、最近では大腸を膨らませるのに炭酸ガスを使用して術後の腹部膨満感のつらさを軽減するという施設も増えています。体内への吸収率も空気の130倍ほど速やかなんです。
また、軽い鎮静剤(眠り薬)を使用すれば、ほとんど苦痛なく検査が受けられ、検査自体も早く終了します。当院では、肛門から大腸の終点に到達するまで多くの患者さんでだいたい5分以内。早ければ1分台で到達することもあります。
早く終わるだけなく、内視鏡検査はポリープがあった場合、可能なら、その場で切除できますので、入院する必要もほぼありません。もちろん、患者さんの症状次第ではあるのですが、総合的に判断し、私は大腸の精密検査には、内視鏡をお勧めしています。
◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。