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溢れる情報…“実行”する前に考えよう

 熱い日が続きます…熱中症にはご注意を
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 「町医者の独り言・第5回」

 最近、著名人の大病がマスメディアで頻繁に報じられ、健康への関心が今まで以上に高まってきている印象を受けます。それに伴って、健康に関するさまざまな記事などをよく目にします。ただ、それらを“実行”する際には、よくよく考えてほしいのです。

 今、熱中症が懸念される時期ですが、こんな患者さんがいました。夏なのに血圧がどんどん上昇してきて、不思議に思って話を聞いたところ、好きでもないのに梅干しを食べていたとのこと。熱中症には、塩アメや梅干しがいいなどの話がテレビ番組で紹介され、それを忠実に実行したのです。梅干しを食べるのをやめてもらうと、血圧はあっという間に低下していきました。

 ある人は、「先生、熱中症や、点滴して!」と来院されました。よくよく診察してみると軽い脳梗塞でした。他にも熱中症を疑って来られた患者さんがいましたが、感染性胃腸炎であったり、気管支炎であったり、めまい症であったり…さまざまなケースがありました。熱中症の特集番組が組まれた翌日には、このように自分で診断をつけて来院する患者さんがたくさんおられます。それ自体は決して悪いことではないのですが“思い込み”は怖いということです。

 別のケースもあります。ある患者さんが足のむくみを主訴に来院されました。話を聞くと、テレビで水を2リットル飲みなさいと言われたと…。心不全の傾向があったり、腎臓が悪い人、高齢の人が2リットルもの水を飲んでしまうと大変なことになります。

 また、ある人は「先生、おしっこが、止まらへんのや。特に最近は夜も眠れないくらい出るんや!なんとかしてくれ!」と。詳しく聞いてみると、脳梗塞予防のために睡眠前にたくさんの飲水をして、大好きなアイスコーヒーもがぶ飲みしていた。また、トイレに起きた際には、さらにコップ1杯の水を飲んでいたと…。つまり、夜間頻尿に対して、してはいけないことばかりしているのです。コーヒーに含まれているカフェインは、排尿を促します。睡眠前に摂取する多量の水分も排尿も促します。その上、多量のカフェインは覚醒効果もあります。まさに「トリプルパンチ」です。

 日々診察にあたっていると、この手の話には限りがありません。他にもたくさん事例はありますが、また別の機会に書かせていただきますね。要は、情報番組など健康促進や改善をうたうものは正しいことも提供してくれますが、すべての人には当てはまらないのです。

 「溢れる情報」を見極めて利用するようにしないと大変なことになりかねないということです。また、少し勉強すればウソだろ?と分かるサプリメントを、多くの方が愛飲されているのを知ると医師として悲しい気持ちになります。効果がないだけではなく、場合によっては肝障害まできたしてしまうこともあるのです。本当によくよく注意していただきたいと思います。

 ただ、時々、プラセボ効果(簡単に言いますと、暗示効果)により、これらを“実行”することで本当に元気になる人がおられます。ここが難しいところなのです。プラセボ効果のお話は次回に、書かせて頂きます。

 ◆筆者プロフィール

 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。1969年、大阪府生まれ。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。

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