藤井聡太五段 写真が映し出した冷徹な目。大舞台でも冷静さを失わない精神力を見た。
冷徹な目をしていた。藤井聡太五段(15)が17日午前、東京・有楽町朝日ホールで行われた「第11回朝日杯将棋オープン戦」の準決勝で、800人の観客と100人以上の報道陣が見守る中、将棋界の第一人者、羽生善治竜王(47)を破った。
カメラマンが撮影を許されたのは、対局者入場から対局開始2手目までだったが、将棋盤が置かれたテーブルから1メートルも離れていなかった。
入場した藤井五段は、満員の観客の視線を浴びながらも、ひょうひょうとステージを歩き、途中、テーブル上の将棋盤を見つめる余裕すらあった。
椅子に腰を下ろし、羽生竜王と向き合っても緊張した様子はなく、素早く将棋盤の駒をつかんで初手を打つ姿には、すでにプロ棋士の威厳と風格が漂っていた。
唯一、中学生らしさを感じたのは、対局前にカフェオレのような色をしたペットボトルを口にくわえた時だったが、写真を見ると、スキのない、冷徹な目をしていることが分かる。
相手が誰であろうと、どんな状況であろうと、冷静さを失わない精神力。短時間だったが、非凡さを感じるには十分だった。(デイリースポーツ・開出牧)