セ・リーグのＣＳファイナルステージ最終戦。印象的だったのはゲームが終わってからだった。

　大量リードを許した九回２死、広島の攻撃。田中広輔のバットが空を切り勝敗が決した。満員の赤いスタンドから悲鳴とどよめきが。次の瞬間、スタンド全体から拍手が響き渡った。

　ぶっちぎりリーグ優勝を決めたが、まさかのＣＳ敗退。やり切れなさや憤りで罵声が上がるかと思われたスタンドからは拍手が鳴り始めた。見事連覇を達成しここまで戦い抜いた選手への賛辞。または、パ・リーグの王者ソフトバンクと戦うＤｅＮＡへのエールか。一概には言えないかもしれないがそう思いたい気持ちがあった。なぜなら、客席からグラウンドにメガホンなどが一切投げ込まれなかったからだ。

　誰よりも一番悔しいのは選手だったはず。それを包むようなスタジアムの温かい拍手。ポストシーズンならではの歓声に久々に胸にグっときた。（写真と文　デイリースポーツ・田中太一）