横綱鶴竜、進退をかけて望む9月場所
大相撲秋場所(10日初日、両国国技館)まで1週間余り。横綱審議委員会による稽古総見が1日に行われた。稽古場には次世代を担う若い力士たちが次々申し合い稽古に参加した。
幕内力士による稽古が始まる。今場所も見どころはたくさんある。御嶽海、北勝富士、宇良、阿武咲ら人気若手力士が先場所の名古屋同様幕内上位に名前がある。若手力士が成長し上位に定着。当然その上を狙うわけで、その上位力士たちもうかうかしていられなくなる図式だ。
秋場所では1人の横綱にとって進退をかける場所になる。それは鶴竜。2場所連続休場、今年はすでに3度の休場。先場所鶴竜が休場した際、師匠の井筒親方は「次に土俵に上がっても勝てなければ、潔く決断しなければならない」と言い切った。鶴竜自身も「このケガで終わりたくないという強い気持ちがある」と話していた。
鶴竜は1日の総見に姿を見せたが、終始土俵の外で四股やすり足を軽くするのみ。白鵬や稀勢の里も土俵では稽古しなかったが、鶴竜がこの時期に関取たちと稽古をしないのを見ると、まだケガの不安を抱えているのかと思わずにはいられない。
稽古の終わり際に鶴竜と白鵬が会話する姿が見られた。ともに大相撲存続の危機を支えた中心人物に間違いはない。若い力士に勝てなくなり、休場が増え、優勝もできなくなると「引退」しか横綱に道はない。白鵬も平成28年7月~平成29年3月まで優勝が遠ざかり、休場が増え引退も囁(ささや)かれた。しかし、見事な復活劇を見せ、次の目標「優勝40回」へ突き進んでいる。
鶴竜もモンゴルの先輩横綱に負けないよう、来場所の復活を期待したい。そして「引退はまだしない」と自らの口から言ってもらいたい。4横綱そろい踏みで千秋楽まで突き進むのか。それとも若手力士たちが場所を盛り上げるのか。楽しみな秋場所初日がもうすぐ始まる。(デイリースポーツ・中田匡峻)