阪神・金本新監督の視線の先には…

 2015年10月24日、阪神の秋季練習が行われている甲子園球場に“鉄人”が帰ってきた。金本知憲新監督(47)が就任後、初めてグラウンドに姿を見せたのだ。選手だけでなく取材する報道陣にも漂う緊張感の中、バットを手に上本、大和らを積極的に指導する新監督。その視線はフェニックスリーグに参加していない2軍の残留組選手にも向けられていた。

 その1人が育成選手の原口文仁だった。09年、帝京高からドラフト6位で指名された6年目の捕手。抜群の長打力を持つが重なる故障に悩まされ、12年末から育成契約となっていた。今年も痛めた右肩の影響で出遅れ、シーズン成績は振るわなかった。厳しい現実と向き合いながら鳴尾浜で必死に練習を重ねている。「写真撮ってもらっていいですか?」。昨年の2軍春季キャンプで原口からフリー打撃の連続写真の撮影を頼まれた。熱心にパソコンの画面を注視していた彼は次の日、試合で本塁打を放った。肩を痛めていた今年のキャンプ中も、休日に必ず安芸ドームに姿を見せていた。

 育成という立場では、他の選手に比べて試合出場も限られてくる。それでも試合中、ベンチから声を出し続ける姿や、出場しなくとも代打に備え、レガースを着け全力でアップする姿を見てきた。そんな原口が金本新監督の前でフリー打撃に臨む。私は心の中で「いい打球打ってくれ!」と叫んでいた。

 甲子園の外野スタンドに快音と共に次々とボールが吸い込まれていく。フルスイングに監督は目を細め、ケージの横から盛んに声をかけた。フリー打撃が終わると、監督自ら身振り手振りを交え原口に対して熱血指導を始めた。練習後の会見で、「江越、陽川と名前を出したけど、彼も入りましたね」と大砲候補に原口文仁という名前を挙げた。秋季キャンプのメンバーに選ばれた原口は安芸へ出発した。11月1日、金本監督率いる新体制の下、キャンプ初日からグラウンドやブルペンでは猛練習が行われている。私は今回、キャンプ取材に赴くことはないが、原口をはじめ若手選手の飛躍を心から期待している。(写真と文=デイリースポーツ・保田叔久)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

カメラマン発最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス