【野球】センバツ日本一導いた健大高崎・箱山ってどんな人? 読書から発想を得た“泥くさい根性論”

 3月31日に閉幕した第96回選抜高校野球大会で高崎健康福祉大高崎が春夏通じて初優勝を成し遂げた。主将・箱山遥人捕手(3年)の存在なくして、悲願達成はなかっただろう。チームを日本一に導き、U-18日本代表候補の強化合宿にも選出されたプロ注目捕手が取り組んだこととは-。

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 高校生らしからぬ堂々とした発言、立ち居振る舞いに毎度感心させられる。日本一のチームで、抜群の求心力を示した箱山。その秘密とは-。

 「主将をやめたい時期もあった」。優勝後のインタビューでは本音もこぼした。「4番・捕手」に加え、新たに加わった役割。新チーム発足直後は秋の地区予選でいきなり敗れるなどし「野球がおもしろくなかった。負担でした」と振り返る。

 それでも、勝てるチームを作るために奔走した。特徴的な取り組みの一つは、全員で頭を五厘刈りにしたこと。優勝を決めた直後、「今の時代に反しているのかもしれないですけど」と前置きした上で、「昭和のような執念。泥くさく、根性論をもう一回大切にしようと提案しました」と経緯を話し話題となった。

 見た目だけではなく、ミーティングを重視して心の一体感も構築していった。圧倒的なリーダーシップを誇るが、「一方的に話すのではなくて、引き出しとか考えを自分が提案して、それを討論していく」と方法を工夫。「戦いへの意識を共通認識にするためにやっています」と力説する。

 ヒントとなったのは、主将にふさわしい男となるために始めた読書だ。愛読書は、大峯千日回峰行を成し遂げた塩沼亮潤大阿闍梨(あじゃり)の著書。約1000日で地球1周分の約4万キロを巡礼し、9日間にわたって断食、断水、不眠、不臥で不動真言10万回を唱える過酷な修行に、野球の世界を重ね合わせる。「命の危機にさらされる中で、生きることだけに集中することで、思っている以上の力を発揮できると書かれていた。野球人にとって負けは死。勝つことだけに集中する精神状態を作れば、強い力が発揮できる」。仲間たちにも伝え、泥くさく強固な気持ちを共有する集団を作り上げてきた。

 超ストイックな性格だが、高校生らしい一面も持つ。後輩から「ハコハルさん」と呼ばれることもあるといい、決勝戦で先発した2年生右腕・石垣は「普段はキャプテンぽくない(笑)おもしろい先輩」と明かす。

 将来的な目標は、プロ入り、さらには侍ジャパンの正捕手だ。「言うだけじゃなく、ふさわしい練習量と結果を残さないと。勝つことが捕手としても評価される」。目下の目標は春夏連覇。そのキャプテンシーで、さらなる高みを目指す。(デイリースポーツ・間宮涼)

 ◆箱山 遥人(はこやま・はると)2006年4月26日、17歳。東京都出身。176センチ、83キロ。右投げ右打ち。5歳から野球を始め、中学時代は「江戸川中央シニア」で全国大会4強。高崎健康福祉大高崎では1年秋から正捕手としてベンチ入り。昨春センバツでもマスクをかぶったが、初戦の報徳学園戦で敗戦。

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