【野球】〝二刀流〟で現役続行 DeNAアナリストと中東新プロ野球リーグ 平田真吾投手の大決断とは

 今年も多くのプロ野球選手たちがユニホームを脱いだ。移籍先など次の進路が決まった選手がいる一方で、未定の選手もいる。それぞれの新しい人生に挑戦する男たちの思いを伝える「第2の人生へプレーボール」。DeNAからは球団のゲームアナリストと、中東新プロ野球リーグでの現役続行の“二刀流”に挑戦する平田真吾投手(34)の大きな決断に迫る。

  ◇  ◇

 何度も、何度も心は折れかけた。それでも諦めることなく、居場所を探し続けた。11月19日。平田は中東を拠点とするプロ野球新リーグ「ベースボール・ユナイテッド」のお披露目興行「オールスター・ショーケース」に出場するため、妻と2人の子どもたちとアラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ飛び立った。

 プロ10年目は開幕から1軍登板がないまま、シーズン終盤を迎えた。今季限りを覚悟した右腕は10月1日のイースタン最終戦・ロッテ戦(横須賀)に家族全員を呼んだ。持てる力を出し切り、1回を3奪三振の完全投球。その2日後に球団から戦力外通告を受けた。

 「最後の2試合がめちゃくちゃいい感じだったので、ちょっと辞めづらくなりました」

 トライアウト参加を決意し、社会人野球にも視線を向けた。「行けるところまでやりたい」。練習を続ける中、トライアウト直前にインフルエンザに感染。何とか回復してマウンドに上がったが、打者3人に1安打1奪三振1四球と不完全燃焼で終わった。

 どこからも声がかからない中、10月末に行われた中東新リーグのドラフトで5巡目指名を受けていた、パキスタン最大の都市カラチを本拠とするモナークスへの参戦を決意した。11月26日の「オールスター・ショーケース」第2戦に東軍の2番手として登板。2回2失点ながら勝利投手になった。

 異国の地で初めてボールを握った。言葉が通じず「バスに置いて行かれちゃったよ」と思い出話もできた。何よりサンドバルやカノらMLBで活躍した選手と同じ舞台で戦った野球に胸が高鳴った。

 「悔いはない。ちゃんと投げられたし、すごく楽しかった」。帰国した平田は、心境の変化を確かに感じていた。DeNAから打診されたゲームアナリストというポストに感謝しつつ、「野球が純粋に違った。メキシコも行ってみたくなりました」と、国境を越えて野球に挑戦する夢が膨らんだ。

 入団当初は打たれる度に「もう無理なのかな」と、野球を辞めたくなった。それでも食事会場で中畑清監督と2人で反省会をした夜が支えとなり、30歳でオーストラリアのウインターリーグにも挑戦した。いつだって選択したのは、野球を続ける道だった。

 平田は球団に思いを伝えた。「来年のドバイリーグに参加したい」。球団も新しい形の挑戦として容認した。ゲームアナリストと現役続行の“二刀流”。最後の最後まで夢を追う。

 「今よりもずっと忙しくなる。でも応援してくれた球団には本当に感謝です。途中で、もし心が折れたら、悔いなく現役引退」と笑った。データの収集、分析でチームを支えながら、来秋の中東リーグ開幕に向けて練習を続ける道は平たんではないだろう。それでも先駆者として、挑戦者として可能性を切り拓く。(デイリースポーツ・松井美里)

 ◇平田 真吾(ひらた・しんご)1989年8月29日生まれ、34歳。山口県下関市出身。182センチ、85キロ。右投げ右打ち。投手。豊北から北九州市立大、ホンダ熊本を経て2013年度ドラフト2位でDeNA入団。翌年3月28日のヤクルト①戦で中継ぎとしてプロ初登板。通算227試合に登板し7勝7敗1セーブ、30ホールド、防御率4.57の成績を残した。

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