【芸能】TBS向井政生先生へ 教え子からのお礼「アナウンサーだけが仕事じゃない」胸に響く

 TBSアナウンサーの向井政生さんが21日、顎下腺(がくかせん)がんのため、59歳で亡くなった。アナウンサーだけではない、向井さんの素顔をここに書かせていただきたい。

 青森県出身の記者は、津軽弁の訛りが酷かったためアナウンススクールに入会。そこで先生として出会ったのが向井さんだった。当初は標準語との違いがわからず、やみくもに発声練習をしている記者に気がつくと「『さしすせそ』が言えてない。東北の人は『すすすすす』に近い音になりやすいから、口の開きを意識して」と教えてくださった。口の開き方のお手本を何度も見せてくれただけではなく「テレ朝の下平さやかアナの口の開きを参考にしてみて。わかりやすいよ」とアドバイス。アナウンサーの定番滑舌練習「外郎売」を実演し、録音させてくれたこともあった。

 明るい向井さんの授業はいつも面白くて、笑いの絶えない教室。授業後も就職活動の心配をして、声をかけてくださった。エントリーシートに普段の様子がわかる写真を提出しなさいという企業へは、一緒に写真を選んでくれ「この表情がいいな、笑顔が自然だね」と後押し。生徒に寄り添う優しい先生だった。

 就職活動に悩むクラスメイトへかけた言葉が忘れられない。「アナウンサーだけが仕事じゃない。ここで学んだことは話し方でしょ?伝わる話し方ができれば、どの面接にだって、どの仕事にだって生かせるから大丈夫」。言葉を大切にする向井さんらしいエールが、私の心にも響いた。そこで私も就職先の目標を、声から文字へと変えた。

 この言葉を聞いた私は、さまざまなことにチャレンジ。観光大使として東京ドームで観光PRをさせていただいたこともあり、アナウンスを生かせる経験ができた。向井さんの教え子は、NHKアナウンサーになった人も。私はスポーツ新聞社で記者になり、インタビュー取材の時には必ずあの言葉を思い出している。先生、言葉を扱う仕事って楽しいですね-。(デイリースポーツ・野里美央)

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