【野球】ヤクルト・奥川に焦りは禁物 思い出す同じ背番号11、荒木大輔の“教訓”

 上半身のコンディション不良のため、2軍調整が続くヤクルト・奥川恭伸投手。1軍復帰を待ち望むファンも多い。

 入団2年目の昨季は18試合に登板。チームトップに並ぶ9勝(4敗)、防御率3・26と活躍。巨人とのCSファイナルステージでは、21歳6カ月でCS史上最年少となる完封勝利を飾り、3年目の今季はさらなる飛躍が期待されていた。

 だが、今季本拠地開幕戦となる3月29日の巨人戦(神宮)で先発したものの4回2安打1失点で降板。翌30日に上半身のコンディション不良で出場選手登録を抹消されて以来、ファームで調整し4月24日に、やっとキャッチボールを再開していた。

 プロ最速155キロを誇る若手投手だけに、周囲の期待は大きい。同学年のロッテ・佐々木朗希(20)が今季はここまで完全試合を含む6勝(1敗)。防御率1・56と大活躍しているだけに、奥川本人はじくじたる思いはあるだろう。

 それでも、焦りは禁物だ。セ・リーグいや日本を代表する投手に成長する素質を秘めているのは疑いの余地はないところだが、故障してはなにもならないからだ。

 私は奥川の背番号が「11」ということもあり、かつて担当記者として接していた荒木大輔(58)の例を思い出した。甲子園のヒーローとして「大ちゃんフィーバー」を巻き起こし、1982年のドラフト会議でヤクルトに1位指名された荒木は一時、ローテーション投手として活躍した。だが右肘を痛め1988年8月27日、米ロサンゼルスで側副靱帯(じんたい)再建手術を受けた。その後、リハビリを急いだため移植した腱(けん)をまた断裂。翌年に再手術を受けるはめになってしまったからだ。

 その荒木が1軍復帰登板を果たしたのは92年9月24日の広島戦(広島市民)。七回2死1塁の場面だった。実に88年7月6日の大洋(現DeNA)戦(神宮)以来となる1541日ぶり1軍マウンドだった。

 もちろん、奥川の状態はそこまでは深刻ではないだろう。幸いなことに投打の歯車がうまくかみ合い、チームは順調に勝ち星を積み重ね、今やペナントレースで独走状態になっている。奥川に無理をさせるチーム状況にはない。

 今やヤクルトは黄金時代を迎えつつあるともいわれている。それを盤石にするためには、奥川の力は必要不可欠なのは間違いない。だが、来季以降も奥川のプロ野球人生は続く。復帰を急ぐ必要はまったくない。(デイリースポーツ・今野良彦)

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