【野球】G原監督の手腕に注視 巻き返しに向けて、忍耐の末、どんな手を打ってくるのか

 巨人の巻き返し策が、中田翔の1軍再昇格だけで終わるはずがない。現在、我慢を重ねている原辰徳監督が、どんな手を繰り出してくるのか。注視している。

 今年のゴールデンウイーク、巨人は悲惨な結果に終わった。9戦で1勝8敗。8日のヤクルト戦(東京ドーム)では、開幕以来、守護神として活躍していた大勢までが15試合目にしてプロ初黒星を喫した。

 菅野智之、坂本勇人という投打の柱を故障で欠き、1番打者としてチームをけん引していた吉川尚輝が左肩甲骨の骨挫傷で出場選手登録を抹消された。開幕当初、快進撃で首位街道を走っていた時期と比べればかなりの戦力ダウンだ。

 9日時点で貯金4。3位に踏みとどまってはいるが、現在の巨人は投打ともに苦しんでいる。9日現在のチーム防護率3・56はセ・リーグ第5位。失点160はリーグワーストだ。5月に入ってからは高橋優貴、赤星優志、堀田賢慎ら若手先発陣が打ち込まれ、勝ち投手となったのは、4日・広島戦の戸郷翔征だけ。MLBで46勝の実績を持つマット・シューメーカーも7日のヤクルト戦(東京ドーム)で来日ワーストの6失点。わずか3回でマウンドを降りた。開幕から踏ん張ってきた今村信貴、高梨雄平、鍬原拓也ら中継ぎ陣も打ち込まれている。

 また、打線の方も41本塁打、153得点はリーグトップながら、チーム打率・244は広島の・261だけでなく、開幕からここまでわずか110得点の中日の・245も下回っている。5月に入ってからは7試合で計17得点。1試合平均でわずか約2・4点しか奪っていない。

 10日に2軍で調整していた中田翔が、1軍に再昇格する見通し。確かに中田翔はイースタンで9試合に出場し4本塁打。4月29日の日本ハム戦(鎌ケ谷)は2打席連発を放ちながら、雨天のためノーゲームになったが、実質10試合で“6本塁打”という結果だ。だが、打率は・241とそこまで上がってはおらず、チーム再浮上を中田翔のバットだけに託すのは酷だろう。

 百戦錬磨の原監督が、このまま中田翔の再昇格だけで手をこまぬいているわけがない。チーム再浮上に向けて、起用法、戦術などを含め秘策や奇策を練っていることは間違いない。

 原監督は豊富な戦力があっても試合を戦う上で、相手が驚くような戦術や起用法をするケースがある。だが、それがあまりクローズアップされてはならない。私はヤクルト担当記者時代、故野村克也監督から「奇策は弱者の戦法」という言葉を何度も聞いた。ただ、奇策ばかりを用いてはならない。正攻法との組み合わせであるからこそ奇策になるからだ-とも教えられた。

 現在のチーム状態を考えれば、巨人は弱者の部類に入る。そんなチームが勝利をもぎ取るために、策を用いることは必要だろう。だが、焦りが禁物であることは原監督が1番理解しているはずだ。考えに考え、忍耐を重ねた末にどんな起用法、戦術をみせてくれのだろうか。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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