【野球】西武「内海は終わった人かもしれない」乗り越えたからこそ価値ある大記録

 今季初勝利をつかむことはできなかったが、4月29日に不惑の誕生日を迎えた西武・内海哲也投手兼任コーチが、今年初先発した7日・日本ハム戦で“奮投”を披露した。

 5回1失点で史上92人目となる通算2000投球回を達成。これまで先発投手として135勝を挙げてきた左腕にとっては、勲章と言える数字だろう。

 18年の巨人担当時代、何度も内海を取材する機会に恵まれた。印象的だった言葉がある。「内海はもしかしたら終わった人と思われているかもしれない」。この年、序盤は2軍調整の日々が続き「正直、何でこんなところ(2軍)にいるんだろう…」と悔しさを隠せなかった。

 しかし、そんな言葉も漏らしつつ、決して準備を怠ることはなかったイメージだ。当時、ジャイアンツ球場にも早朝に一番乗りで球場入りし、ウエートトレーニングなど自らの調整に徹してきていた。人一倍、向上心の高い姿に後輩も尊敬のまなざしを向けていた。

 実際、大江や高田など若手投手陣は内海の元に、助言を請う姿が見られ、球界で生き抜いてきた左腕からどん欲に学ぼうと必死だった。内海も同様、彼らの姿に刺激を受けていた。「大江とか若い投手がすごいどん欲に学んでくる」と若手の存在がモチベーションの一つとなっていた。

 どれだけ、プロの世界で結果を残しても慢心することはない。今回の2000投球回達成も、実現しないまま終わってしまうのではないかと思う時期もあったそうだ。西武在籍4年目で挙げた白星はいまだ2勝。それでも、7日の力投はエースとして君臨した巨人時代に見せた勇姿を彷彿とさせる投球だった。

 試合後、内海は「腐らず、諦めずにやってきて良かった」と感慨に浸っていた。その言葉を聞いた瞬間、18年の終盤のやりとりを鮮明に思い出した。1学年上の脇谷が現役引退を決めた際、内海は「おじさんは、もうちょっとしがみついてやったろかなと」と決意。言葉から強いプライドがにじみ出ていた。

 オリックス・能見、ヤクルト・石川、ソフトバンク・和田に次ぐ年長投手になった。「ライオンズでもう一花咲かせたい」-。第一線で活躍を続けてきた“おじさん”が、まだまだ輝く姿を見せる。(デイリースポーツ・関谷文哉)

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