【野球】ヤクルト・小川 障害持つ知り合いの子供に勇気もらった今季初白星「元気を与えられたら」

 完封勝利の小川(左)は中村に祝福される(撮影・山口登)
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 長く、暗いトンネルを抜けると、最高の景色が広がっていた。

 今季初勝利までかかった開幕から5試合目、1カ月超の時間。ヤクルトの小川泰弘投手(31)が3日の阪神戦(甲子園)で、9回6安打無失点、112球の完封劇。待望の白星をつかんだ。「まず1個勝ちがついて少しホッとしています」。直球を見つめ直し、投球フォームも戻した。始まりの1勝だ。

 リベンジマッチでもあった。3月25日の開幕戦(京セラドーム大阪)では、3回を11安打4失点と責任を果たせなかった。それでもこの日は序盤から修正し続けてきた直球を駆使した強気の投球。唯一ピンチを背負った六回には、2死二、三塁から佐藤輝を迎えた。バッテリーを組んだ中村も「今日の真っすぐで心中しよう」と、6球オール直球勝負で、三邪飛に打ち取った。

 開幕から苦しんだ小川の携帯電話には、大切にしている1本の動画がある。昨季日本一を達成し、迎えたオフ。障害を持ち、入院している知り合いの子どもにビデオメッセージを送った。「その時に思ったことを言ったんだけど、諦めずにとか、前向きに進んでいきましょうというメッセージでね」。そして、小川は言葉を続けた。

 「それをお父さん、お母さんが、その子に見せている動画、(渡した)色紙と一緒に、うれしそうな表情の動画を送ってくれて。応援してくれている子もいるし、自分の力の限り頑張って、そういう人たちに、少しでも元気を与えられたら一番いいかな」

 苦しく、悩んだ日々も声援が力に変わる。この日もきっかけをつかもうと、試合前練習では「あえて」キャッチボールをせず、走り込みで準備。「ストレートをしっかり信じて投げ切れた。今まであまりいい働きができなかったので、これから心機一転して、しっかり試合を作って貢献していきたい」。逆襲はこの1勝から始まる。(デイリースポーツ・松井美里)

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