【芸能】超異例、22分超の大曲を発表 DEZOLVE・山本真央樹(後編)

 Jフュージョンの新鋭バンド「DEZOLVE」のドラマー・山本真央樹(29)が昨年、初のソロアルバム「In My World」をリリースした。1~8曲目まではDEZOLVE同様、本格的なフュージョンを聴かせているが、9曲目「In My World」だけは22分超に及ぶシンフォニーだ。日本のポピュラー音楽では極めてまれな長尺曲を送り出した山本の真意を聞いた。

  ◇  ◇

 22分超の大曲「In My World」は映画音楽を思わせる壮大なシンフォニーで、「一番書きたかった曲」だという。

 「吹奏楽部だったし、作曲を始めたきっかけもクラシックをやってたところがあって、オーケストラみたいな曲を書きたいってずっと思っていたけれども、オーケストラの曲って長かったり伝えるものが細かいので、DEZOLVEだったり他のアルバムで入れると大迷惑なんですよ、70何分中23分を取ってやるのができるのってソロアルバムだけだなと思っていたので、絶対に長い、自分のやりたい音楽を書こうという目標があって、まず『In-』を書こうと」

 ちなみに父・恭司も「In-」に参加している。「2楽章の途中なので、たぶん10何分ぐらいの時に何小節か出てきます」。

 フュージョンと並行してクラシックにのめり込むきっかけは、吹奏楽部時代にあった。

 「現代音楽とか難解な方の音楽をやるタイプの学校だったので、各パートがいろいろうねりがあって、色んな楽器が色んなパッセージをしてて、絡み合っていくっていうのが、なんでこれがこんなすてきな音楽になるんだろうっていうのを勉強したくてフルスコアを見ていたら楽しくなってきて、そこからクラシックにのめり込んでいきましたね」

 「In-」については「一つのモチーフが一つの曲になるまでの脳内のウキウキ感とか葛藤とか、心情の変化を書いている」と説明。「一つのモチーフを変奏していって、映像がない映画みたいな気持ちで書けたらいいなと思って書いていきましたね。ここでまたおびえてこれ入れないとかになるとモヤモヤしそうだなと思ったので、入れられて良かった。ドラムもギターもキーボードもあるので、クラシックに抵抗ある人も聴きやすいと思うので、新たなリスナーの音楽観につながればいいな」と期待する。

 ちなみに日本のポピュラー音楽で20分以上の曲は、X JAPANの「ART OF LIFE」などの例はあるがかなり珍しく、山本も「5分とか6分で長いって思われますもんね」と認める。

 初のソロアルバムで80年代フュージョンに22分超の大曲という“大冒険”をやってのけた山本は「自分の表現したいものを全て書くことができたなと思って、達成感に満ちあふれています。今のところ思い残すことはない。(レコード会社も)好きなことを全部やらせてくださったので、本当に何から何まで、今のところすぐソロアルバムを出したいという気持ちはないぐらい消化しきりましたね」と、充実感に満ちた表情を見せていた。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

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