【芸能】令和の今こそフュージョン! DEZOLVE・山本真央樹(前編)

 Jフュージョンの新鋭バンド「DEZOLVE」のドラマー・山本真央樹(29)が昨年、初のソロアルバム「In My World」をリリースした。22分超に及ぶタイトル曲の他は、DEZOLVE同様に本格的なフュージョンを聴かせている。日本では1980年代に大ブームを巻き起こしたフュージョンを令和の今、世に送り続ける理由を、山本に聞いた。

  ◇  ◇

 1992年生まれ、29歳の山本がなぜフュージョンの道に進んだのか。父はハードロックバンド「バウワウ」のギタリストとして世界的に名高い山本恭司だが、子供には「色んな音楽に触れてほしいというか、色んなタイプのドラマーを聴かせるっていう意識があったみたい」だという。

 その中で教えられたのがカシオペアだ。

 「小学校2~3年生ぐらいの時に『PREFECT LIVE』(88年のライブ盤)を聴かせてくれて、ドはまりしてしまって。当時やっていたレースゲームとかのBGMにフュージョンが多かったのもあって、子供心にブッ刺さった。そこからは完全にフュージョンにシフトして」

 ギターではなくドラム、パーカッションを選んだのも、父に導かれてだった。ドライブ中、曲に合わせてハンドルをたたく父をまねてダッシュボードやチャイルドシートをたたいたら「褒められて、めちゃくちゃうれしくて。難しいことをやればやるほど褒められるということに味をしめて。それでどんどんやってたらいつの間にかパーカッシブなことを手でやるようになっていって、そこから」。

 春日部共栄中高では吹奏楽部で打楽器類全般を担当。高校卒業後、奨学金を得て2011年から米バークレー音楽大学に約1年半留学し、打楽器、作曲などを学んだ。

 12年に帰国後、プレーヤー、作曲家として角松敏生、Little Glee Monster、とんねるず、小比類巻かほる、由紀さおりらと仕事をしてきた。14年に結成したDEZOLVEは2枚のアルバムを発表後、18年にメジャーデビュー。さらに3枚のアルバムをリリースしている。

 今回、ソロアルバムを出したきっかけは、コロナ禍だった。

 「集まって制作ができなくなったし、アルバムリリースツアーも全部なしになっちゃったせいで、バンドで『Frontiers』(20年の5thアルバム)の生演奏を聴かせるタイミングがなくなっちゃったので、フュージョンを書く脳みそを使う場面がなくなっちゃった。DEZOLVEで出せなかった部分の脳みそをここで消化しようっていうのと、前からソロアルバムは作ってみたいなという気持ちはあったので、良い機会だと」

 1~8曲目は、80年代的なゴージャスさを感じさせるフュージョン・サウンドだ。

 「ルーツが80年代後半のカシオペアのアルバムだったり、80年代後半の角松敏生さんプロデュースのインストとか、そういうサウンドが大好きだったので。その辺りのゴージャスな、リバーブが乗ってて、音がめちゃくちゃキラキラしているあのサウンドって今めちゃくちゃ廃れていて、スタイリッシュにドライな感じが最近はやってるのがもったいないなって思っていて。そういう(スタイリッシュにドライな感じの)音楽は今いっぱい世の中に出ているので。そういう(音がめちゃくちゃキラキラしている)音楽を風化させないためにもっていうのと、自分が好きな音楽だからっていうのも相まって、あえてそれを出しましたね」

 ちなみに、DEZOLVEとソロの違いは「ぶっちゃけていうとない」という。

 「DEZOLVEの6枚目がなかったので、ごめんねの気持ちを込めてDEZOLVEの曲を書いたぐらい(の感覚)なので。DEZOLVEに提供してもおかしくない8曲なので、意識して変えてはない。DEZOLVEに書いているのが自分の好きな音楽で、ソロアルバムでも自分の好きな音楽を書こうと思っているので、あまり意図して変えてるところはないですね」

 昨年5月にはテレビ朝日系「関ジャム完全燃SHOW」で、ヒャダインがDEZOLVEを絶賛した。

 「フュージョンとかインスト音楽が地上波に乗ったり、若者にインストの良さを伝えられる点でめちゃくちゃうれしくて。ツイッターのトレンドにDEZOLVEが載ったとか本当にうれしかった。インストでもこんなにみんな納得して聴いてくれるんだなみたいな。世の中の人はこういう音楽があることを知らないからあまり聴いていないだけで、関ジャムみたいに色んなところで聴いてもらえる機会があれば、またブームも到来するんじゃないかな」(続く)

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