【野球】「コツコツと積み重ね」自主トレで目を奪われたオリ・伏見の捕逸0支えた基礎練

 笑顔で捕球練習をする伏見(撮影・田中太一)
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 1月12日に大阪市此花区の球団施設で行われたオリックス・伏見寅威捕手(31)の自主トレ公開。室内練習場で実施した練習は、記者にとってとても興味深かった。

 キャッチボールでは、当然のように相手の胸付近へ構えたグラブに白球が収まる。ノックでは無失策で暴投なし。プロ野球選手なら当たり前-。そう思うかもしれないが、簡単なことではない。記者としての歴は浅いが、ここまで一球にこだわった練習はほとんど見たことがなかったからだ。

 ノックが終わると、始まったのは捕手としての基本練習。ショートバウンドの捕球と当て捕り。さらに、基礎的な捕球練習も繰り返した。このメニューは例年通りだという。

 「やってることは、積み重ねだと思っている。新しいことに取り組むのもすごい大事だと思うんですけど、僕の場合はコツコツと積み重ねていった方がいいって考えなので」

 伏見が「中学生や高校生でもできる」と話した基礎練習。その言葉通り、基礎中の基礎をやっていた。決して派手ではない。だからこそ、地道な練習に目を奪われた。

 伏見は昨季、自己最多の91試合に出場。リーグ2位の盗塁阻止率を誇り、チームの女房役として、25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。ただ、伏見が守備の数字で自信になったと語ったのは、捕逸数ゼロだ。

 「捕逸がゼロっていうのは、特に自信を持てる。一番こだわってるところで、捕手は捕ることが大事。止めること、走者の進塁を防ぐことが大事なので。止められる球はしっかり止める。捕れる球は捕る。すごくシンプルだけど、捕手としてそこは大事なんじゃないかなと思います」

 リーグの捕手を見ると、ロッテ・加藤匠が5つ。ソフトバンク・甲斐、日本ハム・清水は4つ。楽天・太田、西武・森が3つの捕逸を記録している。

 捕逸ゼロを生み出したのは、反復の基礎練習だった。若手時代は「疑う部分もあった。基本的な練習はすぐに結果が出ない」と新しいメニューに手を出したこともあった。ただ、31歳になっても基礎を一番に見つめ直している。

 「改めて、試合に出て、『うわっ助かった』とか。『あれやっといて良かった』ってプレーは結構多い。ここは、おろそかにしたらダメなところなんだって感じですかね」

 リーグ2位となった盗塁阻止率。送球の安定感が増したのも、捕球の大切さに気づいたからだった。

 「盗塁阻止とか、スローイングもしっかり捕れるからいいところに投げられる。そういう風にシフトチェンジというか、頭がなってきて。あそこに投げよう、投げようと投げる方ばかり練習してたけど、実は捕る方が大事。基本動作がすごく大事だなって、ここ何年かで特に思った」

 今季の目標は100試合以上出場。さらに、「もちろん狙っていきたいです」とキャリア初の開幕マスクも奪い取る覚悟だ。若月や頓宮などライバルもいる。ただ「決めるのは監督」と周りは気にしていない。「毎試合出るつもりで準備しようという思いではいます」

 地道に受け、地道に止めた白球の数が、伏見の自信に変わっている。連覇を目指す2022年シーズンに、捕手・伏見寅威の存在は欠かせない。(デイリースポーツ・今西大翔)

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