【運動】照ノ富士1強、強さ増す横綱どう倒す 陸奥親方「稽古をすれば」勝てる力士も
大相撲初場所は来年1月9日に東京・両国国技館で初日を迎える。賜杯争いの中心は先場所全勝優勝を果たした横綱照ノ富士。場所ごとに強さを増す一人横綱に「待った」をかけるにはどうしたらいいのか。本紙評論家の陸奥親方(元大関霧島)は改めて稽古の重要性を説いた。
-照ノ富士は右四つの形が成熟していますし、基本にも忠実です。膝を曲げて両足がそろわないようにし、背中を丸めて前へ前へ攻めています。強いだけでなく安定感がズバ抜けていて、付け入るスキがないように見えます。攻略方法はあるのでしょうか。
陸奥親方「やはり稽古しかないでしょう。こういったら勝てるとか、ああやったら勝てるとかの以前に、稽古不足では勝てません。少なくとも照ノ富士以上の稽古をしなければ勝機は生まれません」
-目安としてどのくらいの稽古量が必要なのでしょうか。
「力士一人一人性格が違うし、自分が満足できる量の稽古をすればいいと思いますが、やはり周囲の親方衆が見て、これなら大丈夫というくらいの稽古量は、最低でもこなさなくてはいけないでしょう」
-十分な稽古量は具体的にどこに反映されるのですか。
「照ノ富士を相手に下手から攻めても、上手を引かれたら勝てません。照ノ富士より先に浅い上手を取って、相手に上手を取らせない相撲が取れればチャンスはありますが、その動きは稽古を積まずにはできません。大きな力士を仮想照ノ富士に見立てて、先に上手を取って相手にとらせないようにするにはどう取ったらいいのか。たくさん稽古をすれば、効果的な動きを身につけることができます」
-コロナ禍の今は出稽古ができません。照ノ富士のような大きな力士が部屋にいない場合は、イメージトレーニングが難しいのではないでしょうか。
「確かにそういう面はあります。それでも合同稽古などを利用して、できる範囲で稽古をすることが大事です。例えば豊昇龍は合同稽古で他の力士よりも積極的に稽古をしているので、本土表でもそれなりの成績を残しています」
-親方から見て十分な稽古量を積めば照ノ富士に勝つ力がつくと思う力士はいますか。
「複数いると思います。特に御嶽海は稽古さえ積めば、照ノ富士を電車道で持っていくくらいの潜在力があります。私に言わせれば、これまでもしっかり稽古をしていれば、とっくに綱を張っていたはずです。逆にいくら才能があっても稽古をしなければ花開くことはありません。貴乃花や白鵬は人より優れた才能に恵まれただけでなく、誰よりも稽古をしたからあれだけの成績を残せたのです」