【野球】巨人・長嶋元監督はバラの花束を抱いてFA槙原の元へ 梅野残留に動くのは

 阪神・矢野燿大監督は、長嶋茂雄巨人終身名誉監督が槙原寛己を引き留めたときのように、バラの花束を抱いて梅野隆太郎の元を訪れないのか?

 FA有資格者の申請期間が29日から始まった。申請する選手は土、日、祝日を除く7日以内に在籍球団に意思を伝えることになっている。今季は国内FAの資格を得た23選手を含む97選手が有資格者だが、広島の大瀬良大地、九里亜蓮、DeNA・宮崎敏郎らはすでに国内FA権を行使せずにチームへの残留を決めている。

 即日、申請した中日・又吉克樹もそうだが、梅野が仮にFA宣言した場合も激しい争奪戦になるだろう。今年の日本シリーズで、ヤクルトの中村悠平がMVPを獲得したように、捕手の守備力が勝敗を左右する。私は92年、セ・リーグを制覇した野村ヤクルトを担当していた。このときの正捕手は古田敦也だったが、故野村克也監督は「守りだけなら上かもしれない」と2番手捕手の中西親志も高く評価していた。

 守備の要である捕手は重労働だ。けがのリスクもある。それなりの打撃力も要求される。しかも投手陣を巧みにリードするようなインサイドワークを身につけるには時間がかかる。梅野はペナント最終盤では坂本誠志郎にスタメンを譲るケースが目立った。だが、まだまだ衰える年齢ではなく、これから円熟期を迎えるだろう。

 どのチームも、前年使用したサインのすべてを翌年に持ち越すことはない。だが、投手が好む配球の傾向や性格が一朝一夕に変わることはない。仮に梅野が他のセ・リーグの球団に移籍すれば、それなりの“情報漏出”は覚悟しなくてはいけない。

 梅野をどれだけ戦力として評価するのか-はフロント、現場の考え方による。だが、来季以降も戦力として考えているなら、一刻も早く残留へ動くべきだろう。矢野監督は14日の公示時点で「球団も残ってもらう努力はしてくれる」と話したが、自らは出馬しないのだろうか。正式にFA宣言した時点で動くつもりかもしれないが、それでは遅い。

 93年オフにFA宣言をした槙原を引き留めるために、長嶋監督がバラの花束を持って自宅を訪れた。このとき、長嶋監督が持っていたのは槙原の背番号「17」にちなみ17本とする説と、自らの現役時代の背番号「3」を足した20本とする説があった。何年かたって長嶋監督、槙原の双方に本数を確認したが、実は2人とも正確な数を把握していなかった。だが、このパフォーマンスだが残留にひと役買ったのは間違いない。

 矢野監督は梅野の背番号「2」にちなみ2本のバラか、それとも自らの現役時代の背番号「39」の39本を足し、41本の花束を用意するのか。それとも静観のままなのか。興味は尽きない。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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