【野球】巨人で苦悩、阪神で開花 14年ぶりG戦勝ち越しへ密かに期待 山本泰寛の恩返し打
必勝を期して臨んだ先週末のヤクルト3連戦(神宮)は1勝2敗。矢野阪神はリーグ優勝を争う天王山で厳しい現実を突きつけられた。だが、負けられない戦いは続く。ドラフト会議を終え、12日からは巨人3連戦(東京ドーム)。今年最後の伝統の一戦が始まる。
巨人戦は08年から13年連続カード勝ち越しなし。12年から9年連続負け越し中。苦杯をなめ続けてきたが、今季はここまで11勝9敗2分けとリードしている。3連戦のうち1勝でもすれば14年ぶりの勝ち越しが決定。原Gは現在6連敗中と元気がない。チャンスだ。
命運を握るのは先発の青柳であり、4番の大山であるのは間違いない。そんな中、記者は山本泰寛内野手(28)が勝利を決めるのでは…と期待する。昨年オフに巨人から金銭トレードで阪神に移籍。おそらく、今年の伝統の一戦は特別な気持ちで戦ってきたと思う。
人生初のサヨナラ打を放った今年4月3日・中日戦(京セラ)の翌日。移籍後初対戦となる同6日からの巨人3連戦(甲子園)に向けて思いを語っていた。
「ジャイアンツを倒さないとリーグ優勝は見えてこないと思うので、まずは初戦が大事だと思います。そこでしっかりチームとして勝って、自分としてもいい役割というか、ジャイアンツに対して僕がいいプレーを見せて、成長した姿を見せられればなと思います」
プロ5年目の昨季は1軍戦の出場ゼロ。菅野のプロ野球新記録となる開幕投手から13連勝も、坂本のプロ通算2000安打も、悲願のリーグ連覇の瞬間も、立ち会えなかった。苦悩の日々を送ったが「来年は、来年はとずっと思って取り組んでいました」と腐らず、ジャイアンツ球場で一心不乱に白球を追った。
1年前の10月は…。2軍戦で月間打率・5割超を残しても昇格の連絡はなく、戦力外通告も覚悟した時期。まさか猛虎の一員として敵対するとは想像もしていなかっただろう。そういえば、山本は巨人と阪神それぞれの良さをこう話していた。
〈巨人〉
「坂本さんだったり、丸さんだったり。そういう中心選手が背中で引っ張るというか。やるべきことをしっかりやっているから、高いレベルにみんながついていこうついていこうという気持ちがあって、それが成長できる要因かなと思います」
〈阪神〉
「若いチームなので、すごい活気がありますし。一人一人がリーダーじゃないですけど、自覚を持ってやっていると思います。誰かに任せるんじゃなくて、自分がやらなきゃという自覚を持っているチームだと思います」
今季は主に試合終盤の守備固めとして内野全ポジションをカバーし、ここまで62試合に出場。貴重な働きで矢野阪神を支えている。
トレードの一報が入った瞬間。「また野球をやれるっていうことで。しっかりと受け止めながら、新しい球団でやれるのは楽しみだなという印象でした」と前向きな気持ちになったと言う。本人が話す通り、いいプレーを披露して成長した姿を刻んでほしい。慣れ親しんだ東京ドームで原巨人を倒してほしい。
(デイリースポーツ・中野雄太)