【ゴルフ】女子ゴルフ界にプラスの相乗効果か 若手の台頭が中堅世代を刺激しツアー全体がレベルアップ

 女子ゴルフ界に新たな潮流が生まれつつある。前週のアース・モンダミンカップで菊地絵理香(フリー)が4年ぶりに圧勝すれば、その2週前の宮里藍サントリーレディースは青木瀬令奈(フリー)が4年ぶりツアー2勝目を達成。若手VS中堅。この構図がツアーをさらなるレベルアップに導く。

 2人は菊地が32歳、青木が28歳とツアーの中堅世代に属し、過去にツアー優勝を経験しているが、このところ勝てなかったことで、現役続行への自信をなくしかけていたというのが共通項。今回の優勝はその悩みのカベを打ち破って新境地を切り開いただけでなく、若手全盛のツアーに中堅が“待った”をかけたという点で価値あるものだった。

 最近の女子ツアーは小祝さくら、勝みなみ、渋野日向子に代表される1998年度生まれの黄金世代、古江彩佳、西村優菜が引っ張る00年度生まれのプラチナ世代、稲見萌寧が孤軍奮闘する99年度生まれのはざま世代が席巻しているが、菊地、青木が中堅の存在感を示したことで、ツアーレベルの底上げが大いに期待できる。

 今の若手世代は総じてドライバー飛距離が出る。勝みなみは255ヤード、原英莉花は258ヤードも飛ばすが、青木がサントリーで優勝した時の平均飛距離は215ヤードで最下位だった。それでも最終日は18ホールで18回パーオンさせ、14ホール中13回フェアウエーをキープした。このショットの精度の高さで、最終日に優勝争いをした稲見をねじ伏せたわけで、自分の短所を埋めるよりも長所を伸ばすことで、新たなステージに上がっていったといえる。

 菊地の場合は青木と違い、自分の短所を埋める努力をした。アース・モンダミンカップの優勝記者会見でドライバーの飛距離を伸ばす努力をしたことを明かしていたが、確かに18年の平均飛距離の230・31ヤードが今季は233・50ヤードへ伸びている。飛距離でアドバンテージを取ってくる若手と互角に競うため、32歳の中堅がなりふり構わず一心不乱に努力した姿には脱帽するしかない。

 2人の優勝は台頭する若手がくれた刺激をしっかりと受けとめた結果だと思う。ティーショットを自分より20ヤードも前に飛ばし、平然と強気のパットを決めてくる若手は脅威だが、2人はどうやったら勝てるのかを模索し、見事結果を出した。これは強力な若手が出てきたからこその覚醒だろう。

 一方で青木、菊地両プロの復活優勝は中堅の存在感を見せてくれたと同時に若手に“優勝はそんなに簡単にはできない”という事実を教えたといえる。次は若手が復活優勝を果たした2人からの“メッセージ”を受け、さらなる努力、精進をする番。そうなれば今後の女子ツアーのレベルアップは大いに期待が持てると思う。(デイリースポーツ・松本一之)

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