【野球】「恥ずかしい」はもうゴメン 大回復へオリックスが見せる異例尽くしの光景

 異例という言葉がある。例のないことを表す。中嶋オリックスのキャンプからここまではこの異例の連続だった。

 13日・巨人とのオープン戦の試合前にもあった。両軍のシートノックが行われる時間、オリックスは走者を想定したゲーム形式のノックを行った。スタンドに観客を入れた中で、基本プレーの確認。これまで見たことがない。実は選手からも「恥ずかしいのでやめませんか」との声が出たという。

 風岡尚幸内野守備走塁コーチは強く反論する。

 「2年連続最下位の方が恥ずかしい。言わなくてもできる大人のチームならやらない。できないから何回でもやって覚えさせるしかない」

 振り返れば中嶋聡監督はキャンプインを前に「チームプレーに関しては内容は求めます。正確さを磨いていかないと勝てない。そこは求めます」と話していた。

 言葉通り、キャンプでは毎日、投手と内野手による連係プレーの確認を行った。バントシフトや、一、三塁での盗塁阻止などだ。同じメニューを本球場のA組、清武第2球場のB組で同時に行う。そのため、A組、B組でいつ選手を入れ替えても同じプレーができるようになった。

 オープン戦に入ってからも本拠地での試合前には連日、投内連係を行っている。これも他チームでは見られない光景だ。

 では、ノルマでがんじがらめかといえば、そうではない。むしろ自由度は広がっている。

 試合のない月曜日などどのチームでも行う先発投手による投手練習は廃止。試合に向けてどう過ごすかは選手に任せられることになった。

 チームの約束事に関しては徹底して植え付けていく。それ以外は選手個人が自分で課題を考え、取り組み方を工夫する。これが中嶋流だ。

 「自分で考えてやらないと身につかない。天才的にすぐにできる選手もいるけど、そういうのはすぐに忘れる」

 考えることこそが、レベルアップに必要な条件であると話す。

 2年連続最下位、6年連続BクラスからAクラス、優勝を目指す大回復は簡単なことではない。指揮官が示す方針、方向は明確。例外はない。ジョーンズやモヤの外国人も連係プレーには毎回参加している。

 中嶋監督が長らく低迷するチームに吹き込んだ新風。どんな効果をもたらせるのか、開幕が待ちきれない。(デイリースポーツ・達野淳司)

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