【野球】広島・高橋昂「またあそこで投げたい」左肘手術乗り越え目指す1軍マウンド

 広島の高橋昂也投手(21)が復帰登板を無失点で飾った。5日のウエスタン・ソフトバンク戦(由宇)に九回から登板。2三振を奪うなど1回1安打無失点で終えた。19年2月に受けた左肘のトミー・ジョン手術から約1年半が経過した。長く苦しいリハビリなどを乗り越えた左腕が、新たなスタートを切った。

 思い切り左腕を振り抜ける喜びがあった。約1年半ぶりに登った公式戦のマウンドで、高橋昂は今ある力を全て出し切った。ソフトバンク打線を相手に1回打者4人に15球を投げ、1安打2奪三振で無失点。直球は最速143キロを計測した。

 「思い描いていたよりは(復帰は)遅くなったけど、試合で投げられるところまで来た。この状態をずっと続けていきたい」

 肘への負担を減らす取り組みが一つの成果を見せた登板でもあった。四球0個だ。テークバックを小さくしトップを早くつくることで制球力が安定した。オリックス・山本の投げ方も参考にし「肘にもしっくりきている」と表情を崩した。

 これまでフォームを微調整する際にもこの投げ方を考えたことがあった。「でも小さくすることで勢いがなくなってスピードが落ちるんじゃないかと思ってやらなかった」。ところが、実際にやってみると球威の低下はなかった。8月のシート打撃では最速で146キロを計測した。

 昨年2月に左肘にメスを入れた。術後、約1カ月はギプス生活。食事の時は利き手ではない右手で箸を持った。体を動かせるようになってもキャッチボールすらできず、ひたすらグラウンドを走る日々。ランニングが得意ではないため「マジできつい」と弱音を漏らしたこともあった。それでも克服できたのはまぶしい舞台での成功体験があったからだ。

 「2年目に1軍で投げさせてもらい、またあそこで投げたいと思った。1軍の経験が高い意識を持たせてくれた」。18年6月28日の巨人戦(マツダ)でプロ初勝利。もう一度、スポットライトを浴びたいという思いが原動力だった。

 先発へのこだわりは強い。今後は段階的に投球回を伸ばしながら、今季中の1軍登板を目指す。「2軍の試合もそうだけど、やるからには1軍に行きたい。そこを目標にやっていきたい」。マツダスタジアムのマウンドに上がるために左腕を振り抜く。(デイリースポーツ・市尻達拡)

 ◆高橋昂也(たかはし・こうや)1998年9月27日生まれ。埼玉県出身。投手。左投げ左打ち。身長181センチ、体重90キロ。花咲徳栄では1年秋からベンチ入りし、2年夏の甲子園に出場した。3年夏もエースとして甲子園のマウンドに立った。同学年の寺島(履正社・現ヤクルト)、藤平(横浜・現楽天)と共に「高校ビッグ3」と呼ばれ、16年度ドラフト2位で広島に入団。2年目の18年にプロ初勝利を挙げる。

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