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【野球】「神整備」が見た甲子園「いいことも悪いこともすべていい思い出に」

 中止になった全国高校野球選手権の代替大会が少しずつ決まってきた。兵庫も独自の開催を4日に発表。新型コロナウイルスの感染対策に配慮しながら、7月18日から8月7日まで県内14会場が球児たちの“晴れの舞台”となる一方で、兵庫県の井戸敏三知事が前向きに発言し、阪神球団も協力する姿勢を見せていた甲子園球場は、使用されないことになった。他の都道府県への配慮もあり、決定されたという。

 甲子園球場のグラウンド整備を担当する阪神園芸の金沢健児さんに、甲子園90周年の節目に聞いた話を思い出した。一つのイレギュラーが人生を左右するかもしれないからこそ、高校野球のグラウンド整備は特に難しいのではないかの問いに対して、「神整備」と呼ばれる職人集団を率いる金沢さんはこう答えた。

 「いつも思うんです。例えばサヨナラエラーで負けて、すごく泣いている選手がいるとする。今は悲しいやろうけど、何年たっても、仲間からお前がエラーしたからやと話のネタにされてお酒が飲める。こんな幸せなことはない。いい結果はもちろん、悪い結果でも、胸張ったらええと。甲子園はいいことも悪いことも、すべていい思い出に変えてもらえるところです」

 最後の1プレーがどうあれ、「甲子園」を目指した毎日がすべて否定されるわけがない。だからこそ、金沢さんたちは球児に過剰に心を寄せることなく、淡々と仕事を全うしてきた。そして、ここで言う「甲子園」は、物理的な器という意味に収まらないと、今は思う。今夏の選手権が消えても、球児たちが野球に打ち込んだ日々が消えることはない。

 甲子園球場の使用の是非、代替開催の可否は分かれるだろうし、都道府県によって大会運営に違いが出るだろう。そこに正解を求めるのは難しい。ただ、それぞれの「甲子園」を肯定できる最後の夏になってほしい。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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