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【野球】球宴初の中止 代案のファン投票をできないか

 オールスターゲームの中止が決まった。新型コロナウイルスの終息が見通せず、開幕が大幅に遅れることを考えれば史上初の決断も妥当だろう。ファンの楽しみが一つ減ってしまっただけでなく、現場にとってもファン投票が無くなってしまうことで肩を落とす選手たちも少なからずいる。

 これまでいろんな選手たちを取材してきたが、オールスターファン投票の得票数が励みになり、時には自信へと変わったという。デイリースポーツ評論家・岡田彰布氏は、ルーキーイヤーの1980年、二塁手部門でファン投票選出された。開幕当初は起用法が定まらなかったが、自らチャンスをつかみ、ファン投票でも多くの得票を集めたことで「自信につながったよな」と当時を回顧する。

 第1戦の四回に代打で登場すると、いきなり逆転3ランを放ってMVPを獲得した。球宴初打席で決勝アーチという離れ業に「ファン投票で選んでもらってホームランも打つことができて。これで後半戦もやっていけるという感じになったんよな」と岡田氏。80年代に虎の中軸として君臨するきっかけとなったのが、オールスターであり、得票で実感することができたファンの後押しだった。

 また2011年に左膝&右肘の故障でリハビリ中だった阪神・城島健司は、6月上旬以降、試合に出られなかったにもかかわらず約11万票(1位は巨人・阿部の24万票)を得た。鳴尾浜の周辺をロードワーク中に「試合に出ることができないのに、本当にありがたいよね。まさかこれだけの票を入れてくれるとは思っていなかったし。恩返しのためにも自分はグラウンドに戻らないといけない」と力を込めていた。

 「それくらい選手にとって、ファン投票ってありがたいもんなんだよ」。その年、球宴に出られるような状態ではなかった。復帰は早くても夏場以降と言われていた。それでも11万の得票数が、苦しいリハビリへと向かう城島の心を奮い立たせた。ロードワーク中に残したあのコメントは、今でも鮮明に覚えている。

 会見で「投票してもらって光栄ですし、うれしい」と語ってきた選手たちのコメントはきっと、偽らざる本心だろう。2003年には中日・川崎を巡って組織票による悲しい事件も起こったが、応援してくれるファンが投票してくれた一票は、選手たちにとって大きなエネルギーへと変わる。

 今年はその機会がコロナ禍によって奪われてしまったことが残念でならない。その一方、何らかの形でファンの思いを選手に届けることはできないのだろうか。完全な私案だが、例えばオールスターが無くなってしまった以上、例年は報道陣の投票で行われてきたベストナインやMVPといった表彰選手をファン投票でも選ぶことはできないだろうか。

 ファンと選手をダイレクトに結ぶ一票が、今後のプロ野球界の発展につながっていくのであれば-。ファンの思いで選手が奮い立たされてきた実例を見てきたからこそ、その意思が形となって反映されることがあってもいいように思う。(デイリースポーツ・重松健三)

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